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2024.09.20 20:00

フェラーリが世に放つ“ゲームチェンジャー”、プロサングエにみる価値創造のイノベーション

スポーツカーブランドである、フェラーリ初の4ドア・4シーターマシンとして話題になった、プロサングエ。フェラーリはプロサングエを「ゲームチェンジャー」と呼ぶ一方で、名付けた「プロサングエ」とは「サラブレッド」の意でもある。そんなプロサングエの真価を体験する「フェラーリ・プロサングエ・ジャパン・グランドツアー」では、高い走行性能を実感しただけでなく、伝統と革新のあるべき姿についても思いを巡らせる旅となった。


ビジネストレンドが目まぐるしく移り変わる昨今にあっても、「伝統と革新」というキーワードの息は長い。加速し続ける資本主義経済のなかで、伝統文化や工芸をいかに守っていくかはグローバルな課題でもある。

フェラーリが2022年9月に発表した4ドア4シーターのグランドツアラー「プロサングエ」は、スポーツカーを作り続けてきたフェラーリのラインナップのなかでは極めて革新的なクルマだった。その特徴は、全長4,973×全幅2,028×全高1,589mmというサイズで大人4️人がゆったりと寛げる広いキャビンを備えていること。あまつさえ旅行のための荷物が積める、大きなトランクルームまである。車高が低い従来のフェラーリのスポーツカーとは対極的なフォルムとすらいえる。

搭載するV12気筒エンジンは総排気量6,496cc、最高出力は725cv、最大トルク716Nm。8速DCTトランスミッションを搭載し、最高速度は310km/h。0-100km/h加速は3.3秒。

搭載するV12気筒エンジンは総排気量6,496cc、最高出力は725cv、最大トルク716Nm。8速DCTトランスミッションを搭載し、最高速度は310km/h。0-100km/h加速は3.3秒。

1000kmにわたるグランドツアーに参加

筆者が参加した、フェラーリ・ジャパンが開催した「フェラーリ・プロサングエ・ジャパン・グランドツアー」は、そんなプロサングエの走行性能を存分に体験できるイベントだった。

京都を出発し、約1000kmの工程を経てゴールの東京へ。数日をかけて日本の歴史を感じさせる都市や美しい自然、伝統的な文化を感じるグランドツーリング。それは、かつてヨーロッパの貴族や文化人、芸術家たちがイタリアを目指して各国の政治や文化に触れる「グランドツアー」をイメージして企画されたもの。


ボディ側面はリアにふくらみをもたせて力強いフォルム。ルーフ後端はクーペライクなシェイプで、ラグジュアリーな広さとエクステリアのスマートさをバランスよく両立。風情ある古都の趣きのなかで存在感を放ちながらも、不思議と調和する洗練されたデザイン。

ボディ側面はリアにふくらみをもたせて力強いフォルム。ルーフ後端はクーペライクなシェイプで、ラグジュアリーな広さとエクステリアのスマートさをバランスよく両立。風情ある古都の趣きのなかで存在感を放ちながらも、不思議と調和する洗練されたデザイン。

その旅の一部を簡単に紹介しよう。京都で100年続く工芸品の作り手を訪れた後に、比叡山を抜けてやがてたどり着いた奥琵琶湖のオーベルジュでは若いシェフによる、日本の伝統的な料理手法の炭火焼を駆使したランチ。かつての日本の物流を支えた山道を走り、加賀藩からの文化がいまなお息づく金沢へ。創業から130年以上の歴史のある老舗会席旅館で、和のもてなしを受けながらいただくオーセンティックな会席のディナー。

翌日には飛騨高山の急峻な山道を縫うように走るワインディングロードでプロサングエの走りを存分に味わい、世界遺産の白川郷へ。イワナの塩焼きを堪能したたあとは、ガイドの案内で茅葺き屋根の建物の特徴や文化を守り続けるコミュニティーについて学ぶ……といった具合。

日本の豊かな文化をプロサングエで発見する

砂浜を走るプロサングエの車窓から見えたカモメたちが並走していた光景は、もしかしたら生涯記憶しているかもしれないと思うほど美しかった。田園風景や巨木の並木、職人技が生み出す伝統工芸の数々、そして土地の風土を反映した建築物や、食。


奥琵琶湖でのランチなど、彩り豊か各地での食文化も体験。

奥琵琶湖でのランチなど、彩り豊か各地での食文化も体験。

時にV12サウンドとともに爽快に、時に穏やかにスムースに。後席も身体をホールドするスポーツシートを備えるプロサングエでは、後部座席に座っていてもスポーティーな走りを堪能することができ、かつ快適な乗り心地のなかで思考を巡らせることもできた。日本にある豊かな風物や文化に触れる旅の中で、常に思い浮かべていたのは、カルチャープレナーたちの存在だ。

後部座席も独立したスポーツシート。もちろんシートクーラー、ヒーターを備え、上質のレザーで設えられたラグジュアリーな空間。同時にクルマの挙動が腰に伝わり、ドライバーがアグレッシブにプロサングエを走らせたなら、後部座席に座っていてもその優れたパフォーマンスを感じられる。

後部座席も独立したスポーツシート。もちろんシートクーラー、ヒーターを備え、上質のレザーで設えられたラグジュアリーな空間。同時にクルマの挙動が腰に伝わり、ドライバーがアグレッシブにプロサングエを走らせたなら、後部座席に座っていてもその優れたパフォーマンスを感じられる。

Forbes JAPANでは昨年から京都市との協業による「カルチャープレナーアワード」を開催している。日本の文化資産や地域資源に注目し、新しい価値やエコシステムを作ろうとする起業家やそれにとりくむ人々にハイライトする企画だ。

そんなカルチャープレナーたちに「伝統と革新」についての考えを問うと、その多くが「伝統は革新の連続である」と強調する。伝統的に受け継がれてきた環境や文化の多くは、いつも時代にあわせてアップデートを繰り返してきた結果、現代にその姿を残しているという考え方であり、保守的な伝統の領域に踏み込む彼らの勇気を奮い立たせる言葉だ。

イノベーションでコアバリューを最大化する

重要なことは、伝統が紡いできた価値がどこにあるのかを見極めること。コアバリューを見つけることだ。利便性と快適性に優れるSUVが圧倒的な人気を博す自動車の世界において、フェラーリはただ大きな4シーターを作ったわけではなかった。

ロングノーズのスマートなシルエット、後席までスポーツシートを備え、限られた車種にしか搭載しないV12エンジンを積んだ。その思考は、サイズやフォルムが変わったとしても、常に最高のパフォーマンスを発揮するスポーツカーを作るというフェラーリの揺るぎない意志がこもっている。

77年に渡り蓄積した知見で作り上げる高剛性のボディに、最先端のテクノロジーを注ぎ込んだサスペンションを取り付ける。既存のスポーツカーよりも大きくなった車体がまるでその大きさを感じさせず、俊敏に、安定して走る。パフォーマンス、ドライビング・プレジャー、そして快適性。プロサングエはこれらの要素を完璧に調和させたモデルだとフェラーリはいう。



残すものは残し、そして慎重に、大胆なイノベーションを行うことで、新しい価値やマーケットまで創造する。そんなビジョンのひとつの結晶がこのプロサングエだ。そんなマシンが完成したからこそ、フェラーリは自信をこめて「純血」という名をこのモデルに授けたのだろう。

これはただのフェラーリの新型車というストーリーには留まらない。大胆な革新から生まれたプロサングエは、現代における価値創造のひとつの好例だ。


Ferrari Purosangue
https://www.ferrari.com/ja-JP/auto/ferrari-purosangue

Promoted by Ferrari / text&edited by 青山鼓