ケヴィン:シカゴ美術館附属美術学校(SAIC)に入学したのは80年代後半なのですが、その当時出来たばかりの「アートとテクノロジー」コースを専攻したことにより、アートとテクノロジー分野の先駆者たちとつながったことはその後の私に大きな影響を与えています。
伝統的な絵画のバックグラウンドを持つ私にとって、新しいメディアでの思考実験は非常に魅力的で、私たちはグループとして一緒に展示を始めました。最終的に、「Synopsys Art Experiments」という非営利団体を設立しました。その中にはいまはNASAで働くVRスペシャリストなど、現在もアートプロジェクトで協力している方もいます。私は作品の中でテクノロジーの影響を探求しており、テクノロジー研究者の彼らの協力によってこれらのアイデアを具現化することができます。
Art Osaka 2024で展示したシリーズでは、ルネサンス絵画や大理石彫刻といった古典的なアート形式&馴染みある視覚言語で、テクノロジーの進化の過程におけるバグを表現しました。私は意図的に、不具合を起こすAIアプリを活かし、作品内にその不具合を組み込むことで、従来のルネサンス絵画のように見せかけました。このアプローチの背後にあるコンセプトは、表現方法はもちろん、額装に至るまでアートを構成するものに対する我々の先入観に挑戦し、伝統の反映と批評の両方として再構築することでした。私のペインターとしてのバックグラウンドをもとに、1980年代からのアートとテクノロジーの研究内容を、アートで実践しています。私は技術的な変革によって生じる「突然変異」と、それが引き起こす感情的な反応に興味を持っており、それを作品に反映させることを目指しています。
ビジネスにもテクノロジーの実用的な応用をすることに興味があります。例えば、AIをコーヒー事業に統合したり、BEAFの助成金申請を効率化するために使用したりしています。しかし、アートでは実用よりも、これらのテクノロジーが人類学的に何を意味するのかを探求し、限界を押し広げることを楽しんでいます。
私はアートとビジネスの両方を、創造性を探求する手段として捉えています。テクノロジーを使用することは、必ずしも必要ではありません。ビジネスには目標と制約がありますが、アート的自己表現においては完全に自由です。アートを通じて得られた自由な発想が、ビジネスへのアプローチに影響を与えることも多く、互いに影響し合い、強化するサイクルを生み出しています。