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2024.09.03 10:00

【米国株ウォッチ】加熱式たばこ「アイコス」が絶好調、フィリップ・モリスの割安度は?

Xavi Lopez/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

Xavi Lopez/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

マールボロやIQOS(アイコス)などのブランドで知られる米たばこ大手、フィリップ・モリス・インターナショナル(ティッカーシンボル:PM)の株価は、2021年1月初旬につけた70ドル前後の株価から現在の123ドル前後の水準まで、約70%以上の堅調な上昇を遂げている。これは主に同社のPER(株価収益率)が2020年の3.7倍から、現在の5.2倍へと40%上昇したことに起因する。加熱式たばこ製品であるアイコスが好調であり、それを見た投資家が同社への期待を引き上げた結果だ。

株価パフォーマンスと割安度

しかし、フィリップ・モリス株の上昇は一貫しているとは言い難い。過去3年間のリターンを見ると、2021年のリターンは21%、2022年は12%、2023年はマイナス2%だった。一方、S&P500種株価指数のリターンは2021年に27%、2022年にマイナス19%、2023年に24%となっており、フィリップ・モリスのリターンは2021年と2023年にS&P500を下回っている。

フィリップ・モリスの株価は現在、十分に値付けされていると私たちは考える。私たちは同社の目標株価を110ドルとしており、これは現在の株価である123ドルよりも約10%低い水準だ。現在、フィリップ・モリス株のPERは19倍となっている(2024年の予想利益ベース)。この19倍という数字は、過去3年間の平均である16倍と比べても高い。株価売上高倍率で見ても、過去3年間の平均である4.2倍に対し、現在は5.2倍となっている。

直近の決算動向

フィリップ・モリスの年間収益は、2020年の287億ドル(約4兆2107億円)から、直近12カ月における収益の344億ドル(約5兆470億円)へと約40%増加した。同社は米国以外の市場でたばこ製品を販売しており(訳注:フィリップ・モリスは、同じく米たばこ大手アルトリア・グループの米国外事業が分離・独立してできた企業)、その収益はたばこと同社の主力商品であるアイコスの販売から生み出される。2022年後半、フィリップ・モリスは160億ドル(約2兆3478億円)でスウェーデンのたばこ製品メーカーであるスウェディッシュ・マッチ株の90%以上を取得し、無煙製品市場での地位を強化した。昨年、スウェディッシュ・マッチの収益はグループ全体の収益の7%にあたる25億ドル(約3668億円)だった。アイコスは力強い成長を続けており、フィリップ・モリスの収益成長を牽引している。実際、売上高ではマールボロを上回っている。
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翻訳=江津拓哉

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