東南アジアの食品・飲料分野で初のユニコーンとなったKopi Kenangan(コピ・クナンガン)共同創業者でグループCEOのティルタナタによると同社は、インドネシア最大のコーヒーチェーンとなり、月間600万杯近くを販売している。2023年の売上高は1億600万ドル(約154億円)で、今年は32%増の1億4000万ドル(約205億円)、2028年には4倍の4億3000万ドル(約630億円)になると彼は見込んでいる。
現状、同社の海外店舗はシンガポールとマレーシアのみだが、今後はより多くの国に進出することを目指している。また、2028年までに販売拠点を現在の1000カ所から3000カ所に増やす計画だ。さらに、2028年までに少なくとも1億ドル(約146億円)を調達し、2029年までにIPO(新規株式公開)を目指している。
コピ・クナンガンは、海外での名称をKenangan Coffee(クナンガン・コーヒー)としている。同社は、フィリピンの現地企業とフランチャイズ契約を結び、10月から出店を開始する。また、来年早々にインドにも直営店をオープンする予定だ。
「東南アジアでナンバーワンのコーヒーチェーンになるために、走り出す時が来た」と、35歳のティルタナタは述べている。コピ・クナンガンという社名は、「コーヒーの思い出」を意味し、同社はこの商標でブランドイメージを確立した。英国の調査会社YouGovが今年行った調査によると同社は、Janji Jiwaやスターバックス、J.Co Donuts & Coffeeを抑え、インドネシアで最も認知度の高いコーヒーチェーンとなっている。
コピ・クナンガンが成功した大きな要因は、同社の価格設定にある。同社の最も人気のパームシュガーラテの価格は2万2000ルピア(約205円)で、一般的なカフェが提供するプレミアムコーヒーの価格の4万ルピア(約378円)よりも大幅に安い。
インドネシアにあるクナンガンの店舗の80%は、テイクアウト専門店で、家賃を抑えるのに貢献している。ティルタナタは、ゆくゆくはカフェとテイクアウト専門店の割合を半々にするつもりだという。高校時代から起業家志望だった彼は、2007年に渡米し、ボストンのノースイースタン大学で財務と会計を専攻した。しかし、両親が経済的に困窮していると聞いて2年半で卒業し、帰国した。
故郷に戻ったティルタナタは、父親が石炭取引会社を立ち上げるのを手伝ったが、2015年に起きた石炭価格の暴落を受け、廃業に追い込まれた。彼はその経験を踏まえ、「どのようなビジネスをするにしても、価格は自分が決めるようにしたい」と述べている。