食&酒

2024.09.02 16:30

全米OPテニスの「ハニーデュース」が象徴、スポーツイベントと飲酒文化の密接な関係

The Honey Deuce cocktail.(Shutterstock.com)

いまや全米オープンテニスの「代名詞」ともいわれるようになったカクテルの「ハニーデュース」だが、それは2005年に誕生した当初から、現在のような文化的アイコンとして認識されていたわけではない。

ハニーデュースは、大会中に大量に提供できるカクテルのレシピの考案を依頼されたウォッカブランド「グレイグース」の当時のアンバサダー、レストラン経営者のニック・モートンが生み出したものだ。

モートンがある晩、デザート用に用意していたハニーデューメロンを丸くくり抜いた形が「テニスボールにそっくりだ」と思ったことが、誕生のきっかけになったという。

だが、全米オープンのオフィシャルドリンクとなったカクテルに大切だったのは、その見た目だけではない。適切なフレーバーのバランスも、同様に重要だった。モートンがほかに候補として検討していたいくつかのカクテルのレシピは、品質を保ちながら会場で作り、その場で大勢の観客に提供するには難しすぎたという。

「アイコン」を生む絶妙なバランス

グレイグースのウォッカとレモネード、ラズベリーリキュールの「シャンボール リキュール」、そしてメロンを使用するこのレシピは、試行錯誤の末にようやく完成したものだ。

そして、このカクテルに欠かすことのできない役割を果たしているのが、フレーバーをもたらすだけなく特徴的な色を作り出し、レモネードの酸味とのバランスをとっているシャンボール リキュールだ。

同ブランドのアンバサダー、バーテンダーのガイアナ・バーンズは、興味深いのは、全米オープンになくてはならないドリンクになったハニーデュースが過去10年において、「スポーツ観戦中に飲酒を楽しむ文化」をいかに形成してきたかという点だと話している。

バーンズによると、スポーツイベントとは切っても切れない関係にあるアルコール飲料の中でも、特に秀逸なドリンクを見つけ出すことこそが、「違い」を生み出すことであり、このカクテルは、まさにその好例だという。
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編集=木内涼子

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