2020年のネオワイズ彗星、2023年の「緑の彗星」、今年4月のポン・ブルックス彗星(12P)に続いてやってくる紫金山・アトラス彗星は現在、地球から観測すると、太陽の輝きに紛れて見えなくなっている。彗星が分裂しないでいられるかどうか疑問に思う科学者もいる中で、熱心な天文愛好家たちは実際のところ、彗星がそもそも見えるようになるのかどうか不安を募らせていた。
このニュースは朗報だ。
NASAが彗星を再発見
宇宙天気情報サイトSpaceweather.comで報告されているように、紫金山・アトラス彗星は最近、NASAの太陽観測衛星「STEREO-A」が捉えた画像の中で検出された。さらに重要なことに、彗星は原形を保っているようだ。これにより、彗星が太陽に接近して地球から見えるようになる間に、天文ファンたちが彗星を観測できることが事実上確実になったわけだ。現在の明るさは7等級で、肉眼で見える天体の限界等級をわずかに下回っている。これから判断すると、彗星が肉眼で見えるほど明るくなるかどうかについて、より詳しいことがわかる時期は9月中旬になる。この時点で、彗星は太陽の輝きから離れて姿を現し、南半球にいる大勢の天文学者によって観測されるようになる見通しだ。
北半球からは、9月27日から10月2日にかけては日の出直前に東の空に、10月12日から31日までは日没直後に西の空に見えるようになる見込みだ。
予測不可能
彗星は予測が極めて難しいことで知られており、この彗星が肉眼で見えるほど明るくなる保証はどこにもない。7月に発表された論文では、紫金山・アトラス彗星は、9月27日に近日点に到達する前に「崩壊の危機が差し迫っている」と予測されていた。この崩壊は、これまでのところ起きておらず、彗星の核は原形を保っているようだ。STEREO-Aの画像では、明るい尾を持っているようにも見える。米ローウェル天文台の天文学者キチェン・チャンは、SpaceWeather.comの取材に対し「彗星は、9月27日の近日点通過時に4等級まで明るくなる見通しで、10月9日にはさらに明るいマイナス3等級に達する可能性がある」と予測している。後者の場合は、双眼鏡か望遠鏡を使えばだが、昼間に見えるようになる可能性があるだろう。