フロンテリジェンス・インサイトは「ウクライナの指導部には戦線を安定化させる方策として、新たに編成された旅団を投入する、クルスク州や(北東部の)ハルキウ州方面から兵力を移す、より安定した正面から大隊を引き抜くなど、いくつかの選択肢がある」と指摘しつつ、実際にこうした措置が講じられるかは見通せないとしている。
ウクライナにとって楽観的なシナリオは、ウクライナ軍参謀本部がポクロウシク正面の防御を増強するための部隊を見つけ、それらの部隊がロシア軍に損害をかさませて前進を続けられないようにする、というものになる。
これは不可能なことではない。ロシア軍は東部で1日に人員を数百人、車両を数十両失っている。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は28日の作戦状況評価で「ポクロウシク正面での敵の損害は5週続けて過去最多の水準で推移している」と報告している。
とはいえ、こうした甚大な損害がいつロシア軍の限界を超えるのか、はっきりしたところは誰にもわからない。エストニア国防省は昨年末、ウクライナは2024年にロシア軍に10万人の死者・重傷者を出させれば、戦争の潮目を変えられるとの楽観的な見通しを示していた。
だが現実はと言えば、ウクライナ側がおそらく今年前半だけでロシア軍に10万人の死者・重傷者を出させたとみられるにもかかわらず、ロシア軍の進撃は止まらず、ポクロウシクに向けた前進が続いている。
(forbes.com 原文)