欧州

2024.08.29 18:30

ウクライナの越境作戦が裏目に 東部でロ軍の攻勢加速、自軍は兵力不足に拍車

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ポクロウシクを落とせば、ロシア軍は東部戦線全体でウクライナ軍の防御を弱体化できるかもしれない。防御の弱体化はロシア側が広範な前進を遂げるうえで非常に重要な前提条件で、広範な前進はドネツク州全域の占領につながる可能性がある。
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オレクサンドル・シルスキー総司令官(大将)らのウクライナ軍指導部が、少なくとも8個の旅団から抽出した部隊から成る数千人規模の精強な兵力でクルスク州を侵攻することを選んだとき、一部の観察者は驚いた。なぜその兵力をポクロウシク正面など東部への増援に回さないのだろうか、と。

ウクライナ軍指導部としては、クルスク州への侵攻によってロシア軍の一部部隊を東部から引き剥がしてクルスク州に張り付け、ポクロウシク正面などへの圧力を軽減しようという考えだったのかもしれない。つまり、クルスク侵攻作戦は牽制・抑留作戦だったのかもしれない。

もしそうだったのなら、作戦は失敗していることになる。親ウクライナの調査分析グループ、コンフリクト・インテリジェンス・チーム(CIT)は「クルスク州での攻勢は、ロシア軍に一部の兵力をドネツク州から移させるように仕向けることができなかったばかりか、同州での(ウクライナ軍の)人員不足を悪化させた」と断じている
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ロシアは、クルスク州でのウクライナ軍の進撃を抑え込むために東部から精強な部隊を急派するのではなく、練度の低い若年の徴集兵多数を含む雑多な兵員をかき集めて侵攻に対抗させることにした。これらの増援部隊はウクライナ軍の進撃を鈍化させたものの、食い止めるには至っていない。だが、ロシア側にとってそれ以上に重要なのは、東部の兵力をそのままにしておくことができたことだ。

その結果、ウクライナ軍がクルスク州に侵攻して3週間あまりたつなか、ウクライナ東部ではロシア軍の攻勢がたんに続いているだけでなく、勢いを増している。CITは「わたしたちもノボフロジウカは数日後にも占領されると予想していたが、ロシア軍の進撃ペースはわたしたちの想定を上回り、ノボフロジウカに近づいても減速しないどころか、逆に加速している」と記している。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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