経営・戦略

2024.09.26 08:15

日本郵政キャピタルが「民泊無人管理」のスタートアップに出資する理由

(左)日本郵政キャピタル シニアマネージャー 井形 晋太郎 氏(右)matsuri technologies 代表取締役 吉田 圭汰 氏

「合理的でない批判」は、ビジネスチャンス

インタビュアー:事業の出だしや、オペレーションは順調でしたか?
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matsuri technologies 吉田氏:このビジネスをはじめた当初は、根拠もなく「無理だ」「上手くいくはずがない」「前例がない」といった声を多く聞きました。とはいうものの、私自身はアメリカでは民泊が2割以上あり、民泊物件をREIT(リート:不動産投資信託)として、投資対象とする流れもあることを把握していました。「合理的でない批判」は、ビジネスチャンスという言葉を思い出し、これはいけると思っていました。

日本郵政キャピタル シニアマネージャー 井形 晋太郎氏:matsuri technologiesの素晴らしいところの一つは、無人管理ソフトウェアというテクノロジーの価値だけでなく、宿泊地におけるオペレーションの提供、継続的改善というリアルの価値も提供している点があります。無人で民泊物件を管理することのイメージは多くの人が出来ると思いますが、いざ、オペレーションに落とし込んでサービスを提供するとなると、別次元の難しさがあると思っています。

日本郵政グループでは、2024年5月15日に「JP ビジョン2025+(プラス)」を策定しました。これは、2021年5月に策定した中期経営計画「JP ビジョン2025」のブラッシュアップ版ともいえるものですが、その中の成長戦略において「不動産事業」には多くのページが割かれています。日本郵政不動産としては計約5000億円の不動産投資を予定しているほか、ゆうちょ銀行の不動産投資は足許約4.3兆円まで拡大、かんぽ生命のオルタナティブ投資は約1.6兆円まで増加(うち半分を不動産・インフラのアセットが占めている)していますが、「JP ビジョン2025」の成長戦略とmatsuri technologiesの成長戦略が絡み合って、相互に成長する姿を考えるのは非常に楽しみです。
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文=曽根康司 再編集=石井節子

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