ありがたいことに、今は良好な関係ですが、この経験により私たちはより慎重になりました。「ファイアウォール」があろうがなかろうが、起業家が「裏切られた」と感じた時点で、どんな論理的な正当化もあまり意味がないのです。ですから私たちはシンプルに、競合する可能性のある投資先企業にまず彼らがどう感じるかを尋ねることを方針としました。投資後にスタートアップがピボットする可能性は依然としてありますが、少なくとも私たちが対策できる範囲内でのリスクについては多少和らげられます。ただし、スタートアップに投資する際には、同分野の別のスタートアップへの投資が今後制限されることによる機会損失も考慮しなければなりません。
非常に複雑な問題だと思います。今回のケースでは、私は起業家の肩を持つ立場ですが、さまざまな見方があることも理解できます。完全に避けるのは現実的ではないので、問題が発生した際に慎重に対応するしかないでしょう。例えば、競合する可能性のある会社の取締役にはならないことなどが、合理的な妥協点となるかもしれません。情報請求権で差をつけるのも1つの方法です。このような細かな点が、たとえ論理的でなくても、少なくとも起業家から見れば感情的な違いをもたらすことがあるのです。
連載:VCのインサイト
過去記事はこちら>>