福祉用ロボットなどを開発するアクセスエンジニアリングは、画期的な屋内用車椅子ロボット「movBot Office」(ムーボット・オフィス)を発売した。おもな特徴は、全方向への自由な移動、座面の昇降、自律走行だ。
車輪にはメカナムホイールを採用し、前後左右斜め移動、回転が自由に行える。サイズは幅600ミリ、長さ893ミリ。通常の車椅子は、幅が630ミリ以下、電動車椅子で700ミリ以下とJIS規格に定められているので、手動の車椅子並みのコンパクトさということだ。しかも手で車輪を回す必要がないので、幅600ミリの通路をギリギリ通れる。通常の車椅子は、タイヤの回転半径の都合上、ギリギリの幅で直交する通路を曲がることができない。90度回転するためには通路幅は1メートルほどとらなければならず、オフィスのレイアウトを改造する必要が生じる。しかしmovBot Officeなら、その場で回転できるため難なく通過できる。
また、横移動も通常の車椅子ではできないことだ。ほんのちょっと横に移動したいと思っても、前後に切り返すか、誰かに車椅子をずらしてもらう必要がある。エレベーターで人が大勢乗ってきて「ちょっと横にずれたい」というときも、movBot Officeなら簡単に動ける。
平面方向だけではない。座面が80センチ昇降できるため、立っている人と同じ目線で自然に会話ができる。これはオフィスの人たち全員にとって大きな利点だ。また、高いところの物を取ったり、高い棚に物を載せたりも可能になる。これは通常の車椅子では絶対にできないことだ。
さらに、ロボットと言うからには自律走行ができる。たとえば広い倉庫で、遠くの棚に置かれたアイテムを取ってくるという作業も、倉庫の平面図を記憶させておけば自動的にそこへ移動して、自動的に戻ってくることができる。もちろん、人や障害物は自動的に回避する。これはむしろ、足で歩くより楽かもしれない。
これらの機能は、歩行が困難な人でも歩ける人と同じ環境で勤務できるようになることを示している。企業も身体障がい者を雇いやすくなるということだ。アクセスエンジニアリングはこれを「オフィス内モビリティ」と呼び、障がい者支援の枠を超え、大型商業施設などでの活用も視野に入れている。movBot Officeの価格は98万円(税別)。
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