株価が急上昇を見せたのは、同社が発表した第2四半期決算(Q2)で収益と利益のそれぞれが市場予想を上回ったためだ。Q2決算における収益は前年同期比2%増の11億6000万ドル(約1676億円)で、主に企業向け収入が4%増加した。さらに、ズームは2025年度(期末は1月31日)における年間収益の見通しを上方修正し、46億3000万ドルから46億4000万ドル(約6693億円から6707億円)の範囲とした。同時に、15億ドル(約2168億円)を上限とする自社株買いも発表している。
株式パフォーマンス
ズームの株価は2021年1月初旬につけた335ドルから、現在の70ドル前後の水準まで約80%下落している。特筆すべきは、ズームは過去3年間、いずれも市場全体をアンダーパフォームしていることだ。2021年のリターンはマイナス45%、2022年はマイナス63%、2023年は6%だった。一方、S&P500種株価指数のリターンは2021年に27%、2022年にマイナス19%、2023年に24%であり、ズームのリターンはすべての年においてS&P500を下回っていることがわかる。直近の業績動向
ズームの主な経営指標は、エンタープライズ・カスタマー(訳注:ズームにおける顧客分類の1つ。同社の営業チームや代理店、提携パートナーが獲得した法人顧客)数と過去12カ月間に10万ドル(約1445万円)以上の収益を生み出した同顧客数である。この両指標とも前四半期で伸びていることは注目に値する。さらに、オンライン・カスタマー(訳注:同社Webサイトから直接契約をした顧客)の平均月次解約率は前年同期比で0.3ポイントの改善となった。このような背景もあり、今後の見通しが明るいと見た市場関係者の目標株価は平均75ドルであり、これは現在の市場価格を約7%上回る水準だ。同社の年間収益は、2020年の6億2270万ドル(約900億円)から2024年の45億3000万ドル(約6547億円)へと7倍以上の伸びを示している。この急増の大部分は、コロナ禍のロックダウンにより、2021年度と2022年度に需要が急増したためである。
ズームはビデオ会議サービス市場のリーダーだ。エンタープライズ・カスタマーとオンライン・カスタマーの両方で強力なユーザー基盤を有している。さらに、同社の人工知能アシスタントである「Zoom AI Companion」は、ビデオ会議サービス市場での地位を強化する可能性が高い。全体として、ズームは今後数年間、成長の勢いを維持すると私たちは予想している。
(forbes.com原文)