ウクライナは、既存部隊の人的損失を補充しつつ、新たな旅団やその支援部隊に充当できるほどの数の人員を動員する必要がある。わずか3800万ほどの人口ですでに100万人規模の軍隊を支えている国にとって「言うは易く行うは難し」だ。
ウクライナの軍・国防省が今回、国外在住ウクライナ人という大きな人材プールから新兵を集めようとしているらしいのは、理由のないことではない。AP通信が欧州連合(EU)統計局のデータとして伝えているところによれば、昨年11月時点で、EU各国で一時的な保護を受けている18〜64歳のウクライナ人男性は計76万8000人にのぼる。
人員の充当だけでなく、装甲車両などの装備の調達も容易ではないかもしれない。ウクライナがそれを外国からの支援なしに実現できるかも疑問だ。1個機械化旅団は、戦車、その他の戦闘車両、榴弾砲、ロケットランチャー、防空システム、工兵車両、トラックなどの各種装備を数百点必要とする。
10個旅団なら数千点必要になるということだ。比較のために数字を挙げておけば、ロシアが2022年2月にウクライナに対する戦争を拡大してから2年半の間に、支援諸国がウクライナの戦争努力のために供与を表明した各種装備の数は1万2000点ほどとなっている。これらは、ウクライナがこれまでに失った各種装備およそ6400点の補充に使われているので、新編旅団に配備できるものは限られてくる。
先行する150番台の機械化旅団の編成が参考になるとすれば、160番台の機械化旅団の戦闘準備が整うまでには半年以上かかる可能性がある。ということは、これらの旅団は2025年向けの旅団で、戦争拡大から4年目になる年に戦う部隊なのかもしれない。
(forbes.com 原文)