「シークレット・マスタープラン」と題されたこの文書は、事実上のテスラの行動原則であり、電気自動車(EV)と太陽光発電が気候変動に対抗する手段になるというマスクの見解を示していた。しかし、最近の彼の政治的立場の変化により、このビジョンは大きく変わっている。
マスクは今月、気候変動の懐疑派であるドナルド・トランプとのインタビューで、二酸化炭素(CO2)の排出源となる石油やガスに頼ることのリスクについての以前の見解を否定したと報じられた。彼は、米大統領選の共和党候補のトランプを支援すると正式に表明している。
「気候変動や石油・ガスに関する私の見解は非常に穏健なものです」と、マスクはトランプとの対談で語った。「石油やガスの産業や、その業界で努力してきた人々を悪者扱いすべきではないと思います。彼らは、経済を支えるために必要なエネルギー源を提供したのです」と彼は主張した。
この発言は、初期のテスラの主張とは大きく異なるものだ。2006年のブログでマスクは、「テスラモーターズ(旧社名)の大きな目的は、化石燃料に依存する経済から太陽光をベースとした経済への移行を促進していくことだ。これは、持続可能な解決策であると私は信じている」と書いていた。彼はまた、テスラ車の価格を将来的に安価にし、EVを広く手頃なものにすることを目指していた。
テスラが昨年180万台以上を販売し、世界で最も価値のある自動車メーカーになったにもかかわらず、マスクは、2030年までに年間2000万台を販売するという目標を撤回した。その代わりに彼は、ロボタクシーや自動運転車の推進に軸足を移している。
マスクが2006年8月2日に発表したブログを検索しても、今では同社のブログページにしかたどり着かず、最も古い記事は、2019年1月18日のものとなっている。また、テスラは2016年にマスクが会長を務め筆頭株主でもあった太陽光発電事業のソーラーシティを買収したが、その際に書かれた記事も、閲覧できなくなっている(ただし、これらの記事は、ウェイバックマシンのアーカイブや、テスラのファンサイトで確認できる)。