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2024.08.27 16:30

Temu創業者が「中国一の富豪」から転落、資産2兆円喪失で

コリン・ファン(VCG/VCG via Getty Images)

中国のEコマース大手「PDDホールディングス」の創業者で前会長の黄峥(コリン・ファン)は、今月初めに一時、中国で最も裕福な人物となったが、8月26日に同社の株価が約30%下落したため、約140億ドル(約2兆円)の保有資産を失い、中国で4位の富豪に転落した。

PDDの株価は、第2四半期決算の内容が投資家を失望させたことを受けて、26日に約30%急落した。これを受けファンの保有資産は28%以上も減少し、約353億ドル(約5兆1000億円)に沈んだ。

この変動により、フォーブスのリアルタイムビリオネランキングにおけるファンの順位は世界で50位、中国で4位に後退した。中国の富豪の上位3名は現在、農夫山泉の創業者の鍾睒睒(保有資産499億ドル)、バイトダンス創業者の張一鳴(同434億ドル)、テンセント創業者の馬化騰(407億ドル)の順となっている。

PDDの株価は、米東部時間26日正午過ぎに前日比30%安の97.35ドルをつけ、年初来の最安値に沈んだ。人気のオンラインマーケットプレイス「Temu(テム)」を所有するPDDの株価は、過去1年で約22%上昇していた。

26日の株価の急落は、同社の第2四半期の売上高が市場予測を下回ったことを受けてのものだ。PDDの第2四半期の売上高は971億元(約1兆9600億円)で、市場予想の1000億元に届かなかった。純利益は320億元で、市場予想の275億元を上回った。

同社のファイナンス部門副社長の劉俊(ジュン・リウ)は声明で、収益成長率が四半期ごとに鈍化していることを認め、「競争の激化と外部の課題」によりこの傾向が続く可能性が高いと述べた。また、PDDのCEOの陳磊(チェン・レイ)は、同社が「短期的な犠牲」を払ってでも事業に投資する意思があると語った。

中国経済の低迷が続く中、高い失業率と家計収入の減少によって期待を下回る結果を報告したEコマース事業者は、PDDのみではない。アリババも6月に、純利益が28.77%減少したと報告し、JD.comが同じ月に発表した売上高も予測を下回った。

CNBCが7月に報じたところによれば、中国の若い消費者は、過去の世代よりも貯蓄を重視するようになり、毎月高い預金目標を設定する「リベンジ貯金」がトレンドになっているという。この現象は中国経済の低迷が引き起こしたものという。

2015年に当時はピンドォドォ(拼多多)という社名だったPDDを設立したファンの資産は、2019年の135億ドルから2021年のピーク時には553億ドルにまで上昇し、今年の平均は389億ドルに達している。彼は2021年まで同社の会長を務め、現在も大株主となっている。

PDDは2022年にTemuを立ち上げた。このプラットフォームの最大の競合はSHEIN(シーイン)とされている。ファンは、拼多多を設立する以前にオンラインゲーム開発企業のXinyoudi Studioと、家電向けプラットフォームのOuku.comを立ち上げていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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