教育

2024.09.12 15:15

気づき、思いやり、関わる 世界で注目される「観想教育」とは

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ところで実際に観想教育を取り入れている学校では、どのような成果が出ているのだろうか。2024年3月に井本が主催した観想教育シンポジウムでは、日本の高校や小学校での導入事例が発表された。
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自由ヶ丘学園高等学校では、「世界をより良くするために、世界の仲間とともに挑戦する人材を育てる」というビジョンの実践として、SEEラーニングを取り入れている。SEEラーニングは世界との関わりを学ぶシステム思考のプログラムが確立されており、採用国も多いため、共に学ぶ機会を創出できる。オンラインでインド、ウガンダ、オーストラリアの生徒と一緒に授業を進め、「他者に親切にすること」「他人が何を考えているのか」などの社会性と情動に関する学びを生徒たちが得たという。

大日向小学校は、自律的で協働的なスキルを身につけるためにSEEラーニングを実施。プログラムで学んだことが日常でよく起こるので、「生きたスキル」として子供たちが自分のものにしている様子が見てとれ、生徒からは「SEEラーニングの言葉を使うとスムーズに話すことができる」「自分の行動を考え直せるようになった」「感情をコントロールできるようになった」などのフィードバックがあるという。

今後、SEEラーニングはファシリテイターの育成、先生たちに向けた定期的なワークショップの開催、コミュニティやネットワークの構築などを進め、導入する学校を徐々に増やしていく。
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「私たちは本来、それぞれに多様で、唯一無二の尊い存在だと思うんです。生まれた時の無分節で無限の状態から、言語や社会性を身につけていくにつれ、徐々に本来備わる感覚やユニークさや身体性を忘れていくこともあるかもしれません。

一人ひとりにすでに備わる輝きや柔らかさ、身体性やクリエイティビティ、そういったものが美しく花開いていくような状態を作りたい。多様であるということが人間の共通性であることをSEEラーニングを通じて知り、自分と違う外見・言葉・文化的社会的背景・信仰・意見・性格を持つ人など、あらゆるボーダーを越えてコンパッションが湧き上がり、お互いと全体のウェルビーイングを願う気持ちが世界中へ伝播していくことを願っています」(井本)


井本由紀◎慶應義塾大学を卒業後、オックスフォード大学で文化人類学の博士号を取得。2010年より慶應義塾大学理工学部に就任、現准教授。2017年スタンフォード大学にて観想教育の調査等を行う。2022年にSEEラーニングJapanを立ち上げ、2024年に観想研究センターを設立し、日本の観想研究と教育の発展に勤しむ。

取材協力=藤野正寛(NTT コミュニケーション科学基礎研究所 リサーチスペシャリスト) 取材・文=國府田淳

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