これほどすぐれた適応を備えた鳥が、なぜ「絶滅寸前」カテゴリーなのか?
並外れた適応と能力をもちながら、マダラハゲワシは現在、絶滅寸前の種としてレッドリストに掲載されている。民間ジェット機のそばを頻繁に飛んでいるせいではなく、その他のさまざまな人為的な脅威にさらされているためだ。マダラハゲワシ減少の主要因は、生息地の消失、中毒死(殺虫剤が混ざった死肉や、ジクロフェナクなどの家畜用薬剤が残留した死肉によるもの)、電線との接触による感電死だ。
加えて、アフリカの一部地域では、ハゲワシの体の一部が、伝統薬や儀式の際に用いられており、これを目的とした違法取引も、個体群に大きな打撃を与えてきた。こうした脅威に直面している上に、繁殖速度が遅いため、いったん減り始めると、マダラハゲワシの個体数を回復させるのは極めて難しい。
このように、マダラハゲワシの命をもっとも危険にさらしているのは、彼らが飛ぶ、気が遠くなるほどの高度ではなく、彼らが地上で直面する脅威なのだ。どれだけ見事に自然環境に適応した生物にとっても、急速に変化するこの世界で生き延びることは容易ではないという、厳しい現実を思い知らされる。
(forbes.com 原文)