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ビジネス

2024.08.23 08:15

アジアへの橋頭堡を築く狙いか!? セブン&アイ買収を仕掛けたカナダ企業の目的

Piotr Swat / Shutterstock.com

カナダ・ケベック州に本拠を置くコンビニエンスストアが、「セブン&アイ・ホールディングス(以下セブン&アイ)」に対して「友好的かつ法的拘束力のない」買収を提案した。日本の流通業界を代表する企業が外資の傘下入りする可能性を伝えるこの衝撃のニュースは日本の株式市場をかけめぐった。

買収提案報道の直後の8月19日午後。セブン&アイの株価は急騰を演じ、前週末比400円高の2161円と、値幅制限上限のストップ高水準まで値を上げた。

セブン&アイは、かねて「物言う株主」からスーパーのイトーヨーカ堂の売却など小売事業の再編を求められていた。このため、「買収が実現すれば経営改革が加速する」との思惑から買い物が膨らんだとみられる。

M&Aテコに拡大図る「聖なる炎の征服者」

今回の買収を仕掛けたのは「カナダのアリマンタシォン・クシュ・タール(以下アリマンタシォン)」。フランス語の社名だ。「アリマンタシォン」はフランス語で「食料」、「クシュ・タール」は「夜更かし」をそれぞれ意味する。

同社は1980年にフランス語圏のケベック州のラヴァルで、1店のコンビニエンスストアから始動した。2014年まで最高経営責任者を務め、現在は執行会長のアラン・ブシャール氏らが創業。ブシャール氏はカナダの長者番付に名を連ねる人物としてカナダ国内では広く知られている。

アリマンタシォンは、現在ロードサイド型中心に世界31カ国で1万6700あまりの店舗を展開、約14万9000人が働く。主力市場は北米で、この地域のフランス語のネットメディア「ラ・プレス」は、シェア8パーセントのセブンイレブンに次いで、アリマンタシォンは4~5パーセントのシェアを有するとの試算を引用している。

カナダの新聞「ル・ジュルナル・ドゥ・モンレアル」は、ブシャール氏を「聖なる炎の征服者」と表現する。M&A(合併・買収)をテコにして、世界中にネットワークを構築してきたからだ。

2003年には米国の16州で1660超の店舗を構えていた「サークルK」の運営会社を買収。2012年には欧州進出を果たし、ノルウェーの小売で2300店を有する「スタトイル フュエル&リテール」を傘下に収めた。

2014年には米国南部を中心に1500店を持つ「パントリー」を買収。2016年にも同じく米国で2000以上の店舗を展開する「CST ブランズ」を支配下に置いた。そして今年1月にはフランスのエネルギー大手の「トタルエナジーズ」からドイツ、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ各国にある計2175店を買収した。

欧米はいずれも給油所併設型の店舗で、現在ガソリンスタンド関連の売り上げが全体の7割超を占める。これに対して、コンビニはいわばファストフードの店舗。売る商品はあくまでもクルマで来店した消費者向けとの印象が強い。
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