リーダーシップ

2024.08.25 08:00

リーダーシップを高める「ストーリーテリングの力」

例を挙げよう。

ある男性は、高校を卒業したものの、どういうわけか読み書きを身に着けなかった。清掃作業員の仕事に応募したが、就業に必要な書類を記入することができず、不採用になってしまった。男性はお金に困り、村の広場に屋台を出して、花屋を始めた。

何年も過ぎるうちに、花屋は拡大した。国中の市場に花屋を開き、とても裕福になった。あるとき従業員から、ビジネス成功について本を書いてはどうか、と勧められた。そこで男性は、自分は読み書きを学んでこなかったのだと打ち明けた。するとその従業員は、「では、読み書きができていたら、どうなっていたと思いますか」と尋ねた。男性は「それなら簡単だ。(最初に応募していた)清掃作業員になれていただろうね」と答えた。

この物語の教訓は、創造力は教育に影響されるものではないということだ。挫折と思えることがあったとしても、それによってどのような道へと進んでいくのかは決まっていない。

『ナルニア国物語』の著者として知られるC.S.ルイスは、こう語った。「元に戻って始まりを変えることはできないが、今この時から初めて、エンディングを変えることはできる」

私たちはみな、ハッピーエンドを求めている。人生とは、語るに値するストーリーを創造することだ。優れたストーリーは、自分よりも大きな何かへと誘ってくれる。優れたストーリーテラーの目的は、人々に対して、「どうやって考えるべきか」を説明することではない。「考えるべき問い」を人々に与えることであり、より良い行いをしよう、より良い人間になろうと鼓舞することだ。

そしてそれは、リーダーシップの基本的な役割と言える。

リーダーシップの影響力を高めるために、あなたなら、どんなストーリーを語るだろうか。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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