欧州

2024.08.22 17:30

ウクライナ軍、セイム川南岸への地上攻撃うかがう ロシアの現地部隊は孤立

Shutterstock.com

ロシア西部クルスク州を流れるセイム川の南西に広がる780平方kmほどの地域を孤立させるべく、ウクライナの陸軍と空軍は16日からの4日間で、この地域のセイム川に架かる永久橋3本をすべて破壊した

ロシア側では工兵部隊が動員され、浮橋(ふきょう)の台船(ポンツーン)などのパーツを急いでセイム川に運び込み、ボートなどを出して組み立て始めた。ウクライナ側はこの動きを予想していた。自爆型のFPV(一人称視点)ドローンで工兵部隊の車列を迎撃し、架橋現場でもドローンやロケット弾でボートやポンツーンを爆破した。

その結果、ウクライナ軍がこの河川作戦を始めてから6日後までに、この地域に残るロシア軍部隊は陸上の補給と増援を事実上絶たれた。空からの大規模な補給も期待できない。ウクライナ軍はこの地域の上空を、ロシア軍のヘリコプターにとって極めて危険な場所にしているからだ。

ウクライナ軍が執拗に一帯のセイム川左岸(南側)地域の孤立化を図っていることからは、クルスク州への侵攻開始から2週間あまりたつなか、次の行動がこの地域に対する地上攻撃であることが強く示唆される。

ウクライナ軍がセイム川の橋を狙っているらしい形跡が最初に確認されたのは、先週16日のことだった。クルスク州のおよそ1300平方kmにおよぶ侵攻地域の前線から西へ15km弱に位置するグルシュコボ町で、セイム川に架かるコンクリート橋が激しく損傷している様子が、ソーシャルメディアで共有された衛星画像で判明した。損傷は繰り返し攻撃を受けた結果だった。

セイム川の橋に対する攻撃は週末から週明けにかけて、西へ移りながら続いた。今週19日までに、ズバンノエ村のコンクリート橋とカリージュ村のコンクリート橋がロケット弾や爆弾で攻撃され、前者はひどく損傷し、後者は破壊された。19日にカリージュの橋が破壊されたことで、ロシア側はもはや、クルスク州のセイム川南西方面に車両を容易に入れる経路がひとつもなくなった。

ロシア軍はポンツーンやボートをもつ工兵部隊を投入した。ラジオ・フリー・ヨーロッパのマーク・クルトフ記者は衛星画像を精査し、少なくとも3本の浮橋の設置を確認している
次ページ > 一帯の空域もロシア軍のヘリなどが容易に入れない状態にしている

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

ForbesBrandVoice

人気記事