7月末に都内で開催されたワイン業界関係者向け中国ワインの試飲会には、山梨のトップ生産者の姿も見られ、注目度の高さがうかがえた。日進月歩を超える勢いで年々急成長する中国ワイン。その背景には、何があるのかー。
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高価格帯が人気 外資参入による競争激化
いまやワイン消費量は世界8位、生産量12位(2022年)、ワイナリーは約800と日本の約1.5倍以上を有する中国。チャンユー(張裕)、COFCO(長城)、ダイナスティ(皇朝)、ウィーロン(威龍)といった中国系グループ4社が生産量の4割を占める一方、中国経済が開かれた1980年代以降、かの地に可能性を見出した外資系企業も多数参入。仏レミー・マルタンを皮切りに、ペルノ・リカール、カステル、LVMH、ロートシルト、ペンフォールズといった名だたる企業が中国へ投資してきた。特に重要なのが、ラフィット・ロートシルトを有するバロン・ド・ロートシルト社の山東省への投資だ。「彼らが中国に根を下ろした結果、中国は、ボルドー五大シャトーも認めた偉大なテロワールを堂々と誇れるようになった」と試飲会を主催した中国ワイン専門家のジャーナリスト、チョン・ポー・ティオン氏は話す。
バロン・ド・ロートシルト社がフランスのラフィット・チームと密に連携して造る「ロンダイ」の最新ヴィンテージは1本約10万円、そしてLVMHグループが雲南省の高地で造る「アオ・ユン」は約5万円という高価格だ。「え、高い!」と思われるかもしれないが、意外にも日本市場における中国ワイン消費をけん引しているのが、高価格帯のワイン。ワイン1本(750ml)あたりの輸入原価(運賃と保険料を含んだ輸入価格)を見てみると、上位30位で2000円を超えているのはスイスと中国のみ。なかでも中国ワインの輸入原価は2718円(2022年)と、チリワインの9.5倍だ。
「現在日本に輸入されている中国ワインは2020年頃から高単価へシフトしている」と中国ワインインポーター「こあらや」営業担当の工藤甲太氏は話す。
こうした品質にフォーカスした本格的なワインが造られ始めたのが、2000年前後以降のことだ。ブドウ栽培からワイン造りまでを一貫して行うブティック・ワイナリーの増加や、海外資本による高い技術の流入により品質が劇的に上がり、競争も激化している。