議事要旨によれば、金利政策の変更を決定するFOMC参加者の「大多数」は、経済データが「ほぼ予想通り」に推移すれば、9月の会合での利下げを支持している。
7月のFOMCでは政策金利の誘導目標を5.25%から5.5%に据え置かれたものの、「数人」の当局者は先月の時点で25ベーシスポイントの利下げを支持すると述べており、これは彼らが行動を起こす準備ができていることを示している。
議事要旨の公表後、市場には動きがほとんど見られなかった。市場関係者はすでに9月での利下げをほぼ確実視しており、今回の議事要旨にはサプライズがなかったからだ。債券と株式の市場はそれまでの上昇を維持し、S&P500種株価指数の終値は7月18日以来の高値となり、10年債利回りは8月6日以来の低水準を記録した(利回りの低下は債券価格の上昇を表す)。
今回の議事要旨で内容が明らかとなった7月のFOMCは、タイミングとしては悪かったと言える。そのわずか2日後に発表された7月の雇用統計では市場予想を大きく下回る結果となり、失業率は4.3%と、前年同月の3.5%をほぼ1ポイント上回った。FRBは最大限の雇用(maximum employment)と物価安定(stable prices)という2つの使命に基づいて行動しているが、インフレが改善に向かい、雇用市場がぐらつく中、中央銀行は後者の支援に再び焦点を絞る可能性が高い。FRBは急増するインフレに対抗するため、2022年3月に初めて利上げを開始し、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標をそれまでの0%から昨年7月までに5%超に引き上げ、直近13カ月間その水準を維持している。
利上げは通常インフレ抑制に効果的だが、経済成長を鈍化させる可能性があるため、しばしば不評を買う。大半の市場関係者はFRBが9月の会合で利下げに踏み切ると見ており、そうなれば2020年3月以来初めて政策金利の誘導目標が引き下げられることになるが、これは結果的に米国全体の借入金利を左右することになる。
21日、米労働省は2024年3月までの12カ月間の就業者の増加数が事前報告よりはるかに低かったことを明らかにし、非農業部門の就業者数を81万8000人下方修正した。このデータは過去の経済状況を表したものであり、FRBは将来の経済状況を改善するために行動するものではあるが、労働市場の弱体化に対する懸念に拍車をかけ、雇用情勢の悪化とより広範な景気減速を防ぐために積極的な利下げを行う可能性が高まった。
FRBに関連する次の主要イベントは、22日からワイオミング州で開催される経済シンポジウム『ジャクソンホール会議』だ。23日にはパウエルFRB議長が講演予定で、経済状況に関するFRBの最新の見解と利下げについての発言に注目が集まる。2022年、ジャクソンホール会議でパウエル議長がインフレ抑制のために利上げを長期化する可能性を示唆したことでダウ平均株価が1000ポイント(3%)以上急落したように、ジャクソンホール会議は金融市場が注目する一大イベントだ。
(forbes.com原文)