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2024.08.26 16:00

事業シナジーのシナリオが描けた 双方が納得する商工中金のM&A支援

中小企業の発展のため、M&A支援に注力する商工組合中央金庫(以下、商工中金)。商工中金のサポートによってM&Aが成立した事例に迫る。


広島県福山市に本社を置くアテルは、半導体基板搬送装置等の精密機器を開発および設計・製造する企業だ。2004年、半導体用ウエハ搬送ロボットを製造販売する企業の子会社として創業し、3年後独立した。アテルを創業した光吉敏彦(写真中右。以下、光吉)は、技術者でありながら3回の起業経験がある敏腕経営者だ。3社目に設立したアテルは、光吉が60歳になったことを機に後継者を探し始めた。

「アテル以外の2社は、私から経営を継いだ社長がそれぞれ60歳を迎えたころ、次世代に経営をバトンタッチしました。私はその様子を間近で見ており、世界情勢の変化が激しい業界のなかで、この先も第一線で経営のかじ取りをするのは難しいと感じるようになっていました」(光吉)


ところが、後継者探しは難航を極め、M&A仲介会社などに相談して譲受候補先を何度も紹介してもらうものの成立に至らなかった。時には、株式譲渡の決断をせかされることもあり、「プロセスに違和感が残った」という。

プロ経営者の招しょう聘へいなどのあらゆる手段を模索したが紆余曲折は続く。このとき、光吉は65歳。後継者を探し始めてから5年の年月がたっていた。そして、古くから付き合いがあった商工中金に承継に関する悩みをもちかける。

光吉は、「M&A成立までのスケジュール感やプロセスを丁寧に説明してもらいました。同時に、商工中金と取引のある全国の企業から譲受候補先を紹介ができるという話をもらいました。その後も、私が納得できるタイミングを見て連絡をいただき、信頼して株式譲渡の検討を進められる、と期待がもてました」と商工中金へ抱いた印象を振り返る。

事業シナジーへの期待と、風通しの良い社風の共通点

程なくして、光吉は商工中金から譲受候補先として2社を紹介される。そのうちの1社、長野県に本社をかまえる不二越機械工業は、半導体加工装置など幅広い製品を製造する企業だ。アテルと同じ半導体業界に身を置くが、まったく異なる装置製造を手がける。3代目社長の市川大造(写真左。以下、市川)、そして当時副社長だった山﨑順造(写真中左。以下、山﨑)は、商工中金から紹介を受けた際、アテルは自社にはない測定の技術を保有していることに大きな魅力を感じたという。

「当社の主力製品である研磨機はリピート購入につながりにくいため、周辺領域にも事業を広げていきたいと考えていました。そのために必要な技術をもっていたのがアテルだったのです。この技術を活用することで多くの事業シナジーを生み出す想像が膨らみ、ストーリーが描けたため、技術者も交えてM&Aの検討を進めました」(市川)、「光吉会長の卓越した技術力にも惹かれました」(山﨑)


光吉も、アテルがもつ技術を不二越機械工業のビジネスに生かせる可能性を感じたという。そして、市川、山﨑と面談した際の第一印象をこう振り返る。「歴史ある会社でありながら、経営陣が若い世代であることが印象的でした。業界予測が難しい時代において勝ち残る企業になるには、若い方に事業を譲りたいと思っていました。また、利益追求に偏りすぎず従業員を大切にする経営方針や、不二越機械工業の経営陣の人柄にも触れ、アテルの従業員を安心してお任せできると感じました」(光吉)

光吉が承継先に求めていた最優先事項は、従業員を大切に雇用し続けてくれることだという。長年にわたり苦楽を共にしてきた従業員が幸せに働き続けることは、どうしても譲れない条件だった。市川、山﨑も経営に対するスタンスは光吉と通じるものを感じたという。

「過去に別の会社を検討したことがありますが、当社の経営方針と合わないと感じてしまい譲受を見送りました。一方、アテルは事業シナジーへの期待だけでなく、当社との社風に共通点を感じました。この共通点が決断の決め手になったと思います」(山﨑)

決断をせかさないスタンスが、納得のいくM&Aにつながる


順調にM&Aプロセスが進み、不二越機械工業への株式譲渡がほぼ決定した段階で、光吉は譲渡を思い悩む時期があったという。その際、商工中金のM&Aアドバイザーである本多徳男(左ページ写真右。以下、本多)は、光吉の気持ちを第一に考え続けた。「光吉会長は、ご相談をいただいたときからじっくり検討を進めたい意向があったため、急いで決めても良いことはないと考えていました。一時期、『株式譲渡をやめたい』とおっしゃったときも、私たちは光吉会長の気持ちを尊重しました」(本多)


数カ月後、光吉は半導体業界の世界情勢が大きく変化していることを鑑み、不二越機械工業への株式譲渡を決断した。揺れ動く経営者の気持ちに寄り添うことで成立したM&Aに対し、光吉は「とても満足している」と語る。同時に、これまで経営と技術をひとりで行っており、信頼できる会社へ譲渡できたことに「正直ほっとした」思いもあったという。「商工中金は、私に決断を焦らせることなくM&Aプロセスを進めてくれました。M&Aが成立するまでには多くのステークホルダーがかかわりますが、第三者が常に間に入っていたおかげで先方との協議や調整をスムーズに進められました」(光吉)

不二越機械工業の市川と山﨑も、商工中金の姿勢に信頼を寄せ、安心してM&Aプロセスを進められたと語る。「相談をした際の反応が早く、長野にも足しげくお越しいただき感謝しています。また、会話の端々から、当社の事業を深く理解しているとを感じました。だからこそ当社が今後の成長を描くうえで、必要となる事業にマッチするアテルを紹介してもらえたのだと思います」(市川)

アテルの従業員は、M&A成立の発表を落ち着いて受け止めてくれたという。光吉は、後継者に経営を譲る意向を数年前から伝えていたからだ。「突然、M&Aが決まったと言っても従業員は心の準備ができません。また、財務面の強化や福利厚生の整備など、株式譲渡した後も従業員が安心して働き続けられる準備を進めてきました」(光吉)

M&A成立から間もなく1年がたつ。光吉が計画に携わったアテルの新工場も24年1月に完成した。大きく変化したのは、組織体制だ。光吉は「これまでトップダウンで経営してきたが、今後は組織力を強化してほしい」と、新社長に就く山﨑に伝えたという。山﨑も光吉の思いを実現するために、アテルの第2章を歩み始めている。

「今後はもっと従業員の力を借りながら、一人ひとりが考え、意見を出し合う会社にしていくことを目指しています」と経営方針を語る。さらには不二越機械工業とアテルの従業員交流を進め技術を学び合うことも構想中だ。

譲受企業と譲渡企業が心から納得するM&Aの実現を目指し、商工中金M&Aアドバイザリー部はこれからも中小企業とともに企業の未来を支えていく。


いちかわ だいぞう◎不二越機械工業代表取締役社長。工作機械製造の技術を生かし半導体シリコンの特殊加工機械の製造を行う、2019年に3代目代表取締役として社長に就任。

やまざき じゅんぞう◎アテル代表取締役。2014年に不二越機械工業に入社。19年より代表取締役副社長に就任。2023年のM&Aによりアテル代表取締役に就任。

みつよし としひこ◎アテル会長。1993年、ジェーイーエルの設立に参画。2004年、これまで培ってきた技術力を生かしアテルを設立。23年M&Aにより同社の会長に就任。

ほんだ のりお◎商工組合中央金庫M&Aアドバイザリー部マネージャー。2020年に商工中金に入社し、M&A業務に従事。中小企業診断士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

Promoted by 商工組合中央金庫 / text by Takako Miyo | photograph by Shuji Goto | edited by Kana Homma