北米

2024.08.21 13:00

ディズニー、死亡事故の「訴訟は無効」との主張取り下げ 批判受け

ピッコロがDisney+のアカウントを作成した際に同意した利用規約には、 「少額訴訟を除き、ユーザーと当社との間のいかなる紛争も集団訴訟放棄の対象となり、個別の拘束力のある仲裁によって解決されなければならない」と書かれていた。仲裁によってのみ解決することに同意することで、ピッコロと、そして同じ条件にサインした他の誰もが、公的な裁判制度を通す代わりに、第三者の調停者と紛争を解決することを約束したのだ。このような仲裁条項は珍しいものではない。

ディズニーは訴訟に対する回答の中で、「ピッコロが実際にディズニー規約を確認したかどうかも重要ではない」と書いている。ピッコロの弁護士はこの主張を「ばかばかしい」と表現し、本件とは無関係の他の弁護士も、誰かがストリーミング規約に同意したからといって、いかなる理由でも訴えられることはないというディズニーの主張は、あまりにも広範囲に及ぶ可能性があり、実際の裁判では通用しない可能性があると述べている。

ガーディアン紙によれば、消費者が利用する個々の製品、ソフトウェア、サービスごとに同意する利用規約を読むには年間250時間近くもかかるという。2017年にデロイトが実施した調査では、91%の人が法的な規約を読まずに同意していることがわかった。また、PC Magazine(PCマガジン)によると、2020年、ユーザーがMicrosoft Teamsの利用規約を読むのにほぼ2時間半、ゲームのキャンディークラッシュの利用規約にはほぼ2時間、TikTokの利用規約には1時間33分かかるという。テンプル大学のジョナサン・リプソン法学教授はワシントン・ポスト紙に、「消費者はほとんど何も読んでいないという一般的な仮定がある」と語った。

ピッコロの弁護士であるブライアン・デニーはフォーブスに対し、ピッコロは 「最愛の妻に代わり、裁判で正義を追求し続ける 」と語った。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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