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2024.08.30 16:00

リアル店舗に新たな価値を アカチャンホンポとLMIグループが打ち出す次世代広告のカタチ

LMIグループが提供する、消費者へリワード提供を行うリテールメディア「AdCoinz®(アドコインズ)」を、全国120店舗に導入した赤ちゃん本舗。取締役執行役員の土師弘明(写真右。以下、土師)は「リワード型リテールメディアは、これまでにない顧客体験を提供することができる」と期待を寄せる。

LMIグループの取締役副社長 共同創業者 望田竜太(写真左。以下、望田)との対談から、新しいリテールメディアが生み出す価値についてひも解いていく。


リテールメディアとは、小売業者が運営するオンラインメディアやECに加え、実店舗に設置したサイネージなどを利用した広告媒体のこと。消費者への購買促進に加え、精度の高いターゲティングで広告主の商品をレコメンドできると今注目を集めている。

LMIグループが提供するのは、実店舗に特化したリテールメディア。従来のリテールメディアは広告主の商品やサービス、キャンペーンなどを配信する、いわゆるデジタル看板という位置付けだ。一方、同社は広告に興味を持った消費者がQRコードのスキャンやアプリのダウンロードなどのアクションを通じてリワードを獲得できる。これまでにない新しいサービスとして、23年11月に「AdCoinz®」をリリースした。

AdCoinz®の仕組み。AdCoinz®の導入により、小売業者は消費者のデータ収集のほか、広告主からの出稿費を得ることができる。

AdCoinz®の仕組み。AdCoinz®の導入により、小売業者は消費者のデータ収集のほか、広告主からの出稿費を得ることができる。

店舗を訪れる消費者のメリットを追求


土師は、赤ちゃん本舗がリテールメディアに投資したきっかけを次のように語る。

「近年では、デモグラフィックに基づいたWeb広告配信を重要な会員獲得チャネルとしてマーケティングを行っていました。しかし、妊娠中や子育て中の方への情報発信には、広告の内容や配信タイミングの配慮が欠かせません。デモグラフィックに沿った訴求とはいえ、一方的な広告配信では、意図せずともお客様の状況によって不快な思いを与えてしまうケースもある。

我々のマーケティングでは『お客様のLTVをいかに高くするか』というシンプルな目標を軸にしています。ゆえに、Web広告で起こり得るレピュテーションリスクをどう防ぐかという課題を抱えていました」(土師)

そんなときに出会ったのが「AdCoinz®」のリリースに向けて動いていた望田だ。

LMIグループが実店舗型のリテールメディアを事業化した背景には、同社の祖業に深い関わりがある。同社はもともと、社長の永井俊輔の実家が営んでいた看板店からスタート。店舗の内装を手がけるなど事業を拡大し、長年にわたり店舗に特化したサービスを展開している。

「我々はこれまで、ディスプレイの効果検証を行う解析ツールの開発や、店舗にAIカメラを設置して来店者の行動を分析し、データに基づいた店舗設計を行うなど幅広い店舗支援を行ってきました。こうした経験から、店舗におけるリテールメディアに、我々独自の視点で付加価値をつけることができるのではと考えていました。

AdCoinz®は単なるプラットフォームではありません。我々は店舗の特性を考慮した上で親和性の高い広告主を探し、店舗事業者様とのマッチングを行うことで、AdCoinz®を導入してくださる企業と一緒に事業を行っています」(望田)

例えばこんな実例がある。大型書店チェーンの店頭に設置されたデジタルサイネージの広告主に、英会話教室を展開する企業を誘致。来店者が表示された英会話学校のQRコードを読み取み、LINEのお友だち登録をするだけで、書店で利用できるクーポンをリワードとして獲得できる。

土師はこうした仕組みに大きな期待を抱いたと話す。

赤ちゃん本舗 取締役執行役員 土師弘明

赤ちゃん本舗 取締役執行役員 土師弘明

「AdCoinz®であればお客様がその場でメリットを享受できる。また広告がお客様の求めている情報であったならば、それ自体がお客様の利益につながります」(土師)

AdCoinz®は、「お客様のLTVを高くする」という赤ちゃん本舗の目標に、ピッタリと合致したのだ。

最新技術によりリテールメディアのポテンシャルを最大限に引き出す


望田は今後、小売業界におけるデジタルマーケティング施策は、リテールメディアが中心となっていくだろうと分析する。

「現在のWeb広告には、サイトを横断したユーザー追跡を規制する流れがあり、ターゲティングの精度の低下やCPA上昇が起きています。例えターゲティングが合っていても、表示回数の多さやタイミングのズレなどにより、消費者が拒否反応を起こしてしまう可能性もある。小売業者がファーストパーティデータを活用して運営するリテールメディアなら、この課題を解決できると考えています」(望田)

購入意欲が高い消費者が訪れる店舗でのリテールメディア広告は、コンバージョン率が高いと言われる一方、その広告効果の測定が難しいという課題がある。AdCoinz®では、広告を目にした消費者が自らのアクションによりリワードを得る仕組みを導入しているため、リワード獲得と広告効果の評価に関するデータを収集できる。

またAIカメラを搭載することで、広告の視聴数や時間、ユーザー属性などのデータ取得が可能。これをもとにキャンペーンの分析・改善を行うことができ、通常の屋外や公共の場で目にする00H(Out Of Home)広告では難しい広告効果の「見える化」を実現した。

土師は技術的価値に加えて、他業種との共創による新たな価値の提供にも期待を寄せる。

「将来的なメリットとして、広告主となる他業種企業とのアライアンスも期待しています。アカチャンホンポに来店する方のライフステージは、お子様の成長に合わせて変化していきます。ですが我々だけではすべてのニーズにお応えすることはできません。リテールメディアを通してお客様が必要とされる他業種のサービスや情報を発信することで、包括的な子育て支援を実現できるのではないかと考えています」(土師)

土師の思いを熟知している望田は、広告主の選定にも力が入る。

「アカチャンホンポのメインターゲットは、妊娠中の方から3歳のお子様がいるご家族です。生活環境が大きく変化することで、車を持つ、引越しをする、保険に加入するといったことを考える機会も増えていきます。そうした状況に寄り添い、店舗に訪れた方によろこんでいただける広告とリワードをご提供していきたい。

土師さんのような熱い思いを持った方と一緒にソリューションを考えていけることを、とてもうれしく思っています。ともに広告の世界をユーザーファーストで、より良いカタチを模索していきたと思っています」(望田)

リテールメディアで目指す、子育てと広告のニューノーマル


アカチャンホンポでのAdCoinz®導入は、24年6月に開始したばかりだが、土師は次の展開を見据えている。

「AdCoinz®は単なる広告ツールではなく、企業の理念や価値観を具現化するソリューションだと感じています。アカチャンホンポでは『子育て』という文脈での掛け合わせで、他社では地域活性化や健康増進、エンターテイメントなどさまざまな分野での活用可能性を秘めていると感じます。

アカチャンホンポ以外にもAdCoinz®を活用して企業理念を実現する企業が増えていくこと、地域社会や社会全体にとってより良い価値を生み出すソリューションとして、AdCoinz®が発展していき、どんどん活用されていくことに期待しています」(土師)

パートナー企業としてAdCoinz®に期待を寄せる土師の思いに応えるべく、望田も自身が描く未来について語った。

LMIグループ 取締役社長 共同創業者 望田竜太

LMIグループ 取締役副社長 共同創業者 望田竜太

「消費者、広告主、小売企業それぞれがメリットを得ることができる広告モデルを、AdCoinz®によって実現していきたい。AdCoinz®は消費者の方々の民意を獲得できなければ成り立たないビジネスです。消費者のニーズと愚直に向き合い、消費者を幸せにする広告提供を行うことで、消費者、広告主、小売企業にとって三者共栄の、広告モデルのニューノーマルとなることを目指しています」(望田)


LMIグループ
https://www.lmig.co.jp/

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