つまらない会社にする落とし穴1:エビデンスを求めすぎる
つまらない会社にする落とし穴の1つ目は、エビデンスを求めすぎること。野中郁次郎先生は「日本企業の3つの過剰」を課題として挙げられています。野中先生が指摘する3つの過剰とは「オーバーコンプライアンス」「オーバーアナリシス」「オーバープランニング」であり、極めて正しいご指摘だと思います。一般的に正しいと思われる要素も「やりすぎる」と逆効果であり、企業の創造力・競争力を削ぐという指摘でもあります。
先が見えないVUCAの時代には、時代の変化に合わせて柔軟に対応できる仕組みや文化を持っていることが生き残るために重要な要素となります。特に生成AIが今後企業活動において避けられないインパクトを持つことは明らかで、データやソフトウェアを使いこなして新しい価値創造を行える企業だけが生き残れることは間違いありません。
新たな価値創造を行おうとする時は、新たな仕組みや仕掛けを構築することが少なくありません。仮にあなたが面白いデジタルガジェットを思いつき、製品化・事業化しようとする時のことを考えてみましょう。そして知り合いのデバイスベンダーに声を掛けて、そのデジタルガジェットを競争力のあるものにしようとするときに、他社で採用したエビデンスのあるものだけを選択しようとしたらどうなるでしょう?
あなたの会社で採用されるには他社で採用されたというエビデンスが必要ということをデバイスベンダーは学習するので、まずあなたの競合他社にそのデバイスを提案しに行き、採用実績を作った後、あなたの会社に提案するという順序になります。そうなると、すでに他社が商用化してしまったものなので、ある意味二番煎じのプロダクトをあなたの会社が作り続けることになるのです。
ソニーのホームページには、ソニーのスピリッツとして「人のやらないことをやる」ということが明記されていますが、今一度、この言葉の価値を再評価しても良いと思います。