ヤン・ハツィウス率いるゴールドマンのエコノミストたちは、米国が今後12カ月間に本格的な景気後退に陥る確率を25%から20%に引き下げた。彼らは、今月始めに発表された米国の失業率が4.3%と予測を上回る水準になったことを受け、その確率を15%から25%へと引き上げていた。
「今週発表された小売売上高や失業保険申請件数など、8月2日以降に発表されたデータには景気後退の兆候は見られない」とハツィウスは説明する。
またロニー・ウォーカー率いるゴールドマンの別のチームも、週末に顧客向けに発表した別のメモの中で、景気後退が差し迫っているわけではないとの見方を強めている。最近聞かれる消費者心理の弱さを指摘する声についても、「かなり誇張されている」と彼らは話す。
ウォーカーらが追跡する、大手上場企業の決算報告会で口にされた経営陣の言葉によって消費者心理を測る指標は、2022年以来の高水準に上昇したばかりだという。
ウォーカーのデータによれば、S&P500の構成企業のうち、第2四半期決算の報告会で「リセッション(景気後退)」という言葉を口にした企業は5%未満で、景気の減速懸念がピークに達した2022年と2023年の変わり目に観測された25%以上の水準から大幅に低下した。
「不況の襲来となると、たいてい人々はすぐに反応する」と、ハツィウスは7月の雇用統計の結果に対するパニック的反応について語った。
8月2日に発表された7月の雇用統計は、元連邦準備制度理事会(FRB)のエコノミスト、クラウディア・サームが考案した景気後退を判断する基準である「サーム・ルール」を満たすものだった。しかし、その後に発表された失業保険申請件数の減少や、小売売上高の改善など、予想を上回る報告が相次ぎ、その懸念は払拭された。実際、ミシガン大学の月例調査によれば、消費者心理は3月以来初めて上昇している。
(forbes.com原文)