しかしながら注意点もある。今回は欧州委員会のDMA(Digital Markets Act、デジタル市場法)により復活したものであり、ダウンロードできるのはEU(欧州連合)圏内に限られてしまう。
DMAはアップルに対し、App Store以外のアプリストアの設置を許可することを義務づけている。そして欧州時間8月16日、待望のEpic Games StoreがiPhoneに登場した。
このストアは、EU圏内でiOS 17.6をインストールしているiPhoneユーザーのみが利用できる。ストアをダウンロードすれば『Fall Guys(フォールガイズ)』や、最大の目玉である『フォートナイト』を含むいくつかのゲームにアクセスできる。Epic Gamesは今後、対応ゲーム数を増やす予定だ。
アップルとEpic Gamesの争いは、Epic Gamesがアプリ内課金の手数料支払いを回避しようとしたとして、アップルがApp Storeから『フォートナイト』を削除したことが発端だ。『フォートナイト』自体は無料でダウンロードとプレイができるが、ゲーム内通貨を購入することができる。ちょうど4年前の2020年8月以来、iPhoneやiPadではプレイできなくなっていた。
Androidユーザーはこれまでも『フォートナイト』をプレイできていたが、今回のEpic Games Storeの登場により、世界中のAndroidユーザーもEpic Games Store、そしてAltStore Palという別のストアからダウンロードできるようになった。
iPhoneに関しては、Epic Games StoreはEUで利用可能な5番目の代替ストアとなる。他の3つはSetapp Mobile、Aptoide(まだ完全にはローンチされていない)、そしてB2B向けのMobiventionだ。
Epic Games Storeは間違いなく、これらのストアの中で最大規模だ。インストールは少し手間がかかるが簡単だ。ダウンロードしたら設定アプリに移動し、Epic Games Storeからのゲームインストールを許可する必要がある。その後、Epic Gamesのウェブサイトに戻り、ダウンロードを選択する。
ダウンロードが完了すれば、『フォートナイト』を簡単にプレイできる。ゲームはこれまでと変わらずスムーズで美しいグラフィックだ。
EUの動きは、他の国にも同様の規制導入を促すのだろうか? 米国、英国、オーストラリアなどが、今後の動向を注視していると考えられる。
現時点では、EU圏内のユーザーだけがiPhoneでEpic Gamesのウェブサイトにアクセスし、このストアをダウンロードできる。
アップルは、セキュリティ上の懸念からサイドローディング(App Store以外からのアプリインストール)に対して強く反対してきた。また、開発者から得られる収益を失いたくないという思惑もある。これがそもそもEpic Gamesとの争いの始まりだった。個人的には、多くのユーザーは、App Storeという単一のマーケットプレイスの利便性と信頼性に満足しているように思える。しかし、今回のEpic Games Storeの登場は、EU圏内のiPhoneユーザーにとって転機になるかもしれない。
(forbes.com 原文)