米労働省が米国時間8月13日に発表した7月のCPIは前年同月比2.9%の上昇となった。CPIは、典型的な米国人が1カ月の間に消費するであろう商品やサービスの価格が前年比でどのように変化したかを追跡する経済指標だ。
エコノミストによる事前予想は、先月の結果と同じく前年同月比3%の上昇だった。前年同月比上昇率(年間インフレ率)が3%を下回るのは、2021年3月以来でこれが初めてのことだ。
変動の大きい生鮮食品とエネルギーを除くコアCPIは前年同月比3.2%の上昇で、これは事前予想および6月コアCPIの数字である3.2%と一致した。
市場予想よりもやや低いインフレ率となったことで、FRBは9月に予定されている会合で4年半ぶりの利下げに踏み切りやすくなったと予想されている。
モルガン・スタンレー傘下のオンライン証券会社、イー・トレードでトレーディングおよび投資部門長を務めるクリス・ラーキンは、今週初めの電子メールによるコメントで「投資家は、インフレ率が『スイートスポット』に収まることを期待していた。それは、9月利下げの可能性について疑念を抱くほど低い水準でもなく、最近の市場を動揺させている景気後退懸念を脇に追いやるには十分に高いという水準だ」と話した。
ラーキンが言及したように、今回発表されたCPIは米国経済と金融市場にとって特に重要な時期に行われた。インフレ率はピークを大きく下回り、長期的な目標値である2%に近づいているため、多くの人々はFRBが2020年3月以来の利下げを実施することを熱望している。利下げとなれば、あらゆる形態の借入コストが割安になるため経済成長を促進する可能性が高く、インフレ対策として2022年に開始された金融引き締めサイクルが正式に終了することになる。
しかし一方で、FRBがあまりにも長い間金利を高く維持し、米国を景気後退に陥らせたのではないかという懸念が今月初めに浮かび上がった。7月の雇用統計で、エコノミストの予想をはるかに下回る雇用の伸びと失業率の高さが明らかになったため、景気後退の可能性が懸念され、株式市場は大きく混乱したのだ。しかし、先週発表された新規失業保険申請件数や、米国時間13日に発表された生産者物価指数も事前予想よりも良い結果だったことから、この景気後退懸念はある程度払拭された。
(forbes.com原文)