現在のスマートフォンで、同じアプローチをとったら何が起きるのか私は気になっている。PDAよりもはるかに多くのスマートフォンが日々販売されている。そして市場では端末のサイズは似たものに落ち着いている。ティム・クックには、「ホーキンスの木片」が必要だろう。アップルは、さまざまな大きさを試しながらも、これぞというサイズを見つけられていなためだ。
現在の「居心地の悪いサイズ」はiPhone 15 Plusだ。Consumer Intelligence Research Partnersが発行した5月のレポートによると、「Plus」サイズのモデルは、iPhone全体のわずか9%しか売れておらず、標準サイズiPhoneの売上も下降を続けている。新規購入者にはProの方が選ばれており、旧モデルであるiPhone 14シリーズも魅力的な選択肢になっているという。
大型のPlus以前、アップルはより小さなminiを、高スペックで小さなiPhoneとして販売していた。この製品は声の大きい人たちを満足させたが、そんな人たちは、同社が期待していたほど多くなかった。Counterpoint Researchによると、iPhoneのminiシリーズは、2021年、2022年ともにベストセラーのランキングに割り込むことができなかった。
そこで、アップルの次なる革新的サイズのiPhoneを考えてみよう。アップルは大きくすることでも、小さくすることでも成功できなかった。では薄くすることで、ついに成功することができるのだろうか?
マーク・ガーマンが、仮に「iPhone Air」と名づけたものについてBloombergに書いている。それは、2025年に登場するであろうiPhone 17ファミリーの「第4のモデル」になるという。iPhone 17と17 Proの間に位置し(現行のPlusモデル同様)、ファッション性と競争力をもち、iPhone 17と17 Pro Maxの価値提案を損なわないという、初代MacBook Airのアイデアを受け継いでいる。
近年のスマートフォンにおけるカラーバリエーションの豊富さや特別なカラーを中心とした「ウェブ限定」モデルの展開、そして製品発表動画における新規カラーの派手な見せ方を思い出してほしい。美的感覚にすぐれたデザインと、時代に合わせたファッションの製品さえ用意できれば、成功するためにスペックを改善する必要はない。
Palmのいくつかのモデルはホーキンスの木片の精神を受け継いだが、Palm Vはあのゴツい外観を捨てただけでなく、間違いなくPDAをメインストリームへと押し上げた。その年Palmの売上は400%も上昇した。
「私たちが求めていたのは、あなたがテクノロジーを使っていると感じるようなものではありませんでした。探していたのはもっと宝石のようなものでした」と当時ジェフ・ホーキンスは語った。「機能を追加するつもりは、まったくありませんでした。作っていたのは美しい製品……、私たちは工業デザインに集中していました」
ティム・クックによる次世代iPhoneのデザインは、「Palmのような」もので、「iPhoneのようではない」ものにすべきだ。
(forbes.com 原文)