クルーズ船の入港を制限するサントリーニ島
ギリシャのサントリーニ島も、欧州の他の観光地と同様の問題に悩まされている。過剰な観光客のほか、産業の未発達で観光シーズン以外に地元住民向けの仕事が不足していることや、外国人観光客によって家賃が高騰していることだ。これに加え、地球温暖化による森林火災や水不足が現実的な脅威となっていることから、住民感情は一層悪化している。米ブルームバーグ通信によると、サントリーニ島では水不足によりブドウの生産量が50%減少し、地元のワイン生産者が打撃を受けている。同島を今夏訪れる観光客は340万人に上るとみられている。サントリーニ島のニコス・ゾルゾス市長は島内での建設工事を禁止することができず、ギリシャ政府に介入を求めている。
ギリシャに昨年停泊したクルーズ船の数は、前年比でほぼ倍増した。同国のキリアコス・ミツォタキス首相は来年以降、国内の特定の島々へのクルーズ船の寄港を制限する計画だ。サントリーニ島ではクルーズ船で到着する観光客の上限を、新型コロナウイルス流行前の水準である1日当たり8000人に抑えることを目指している。ギリシャ政府はアパートの短期賃貸の制限も検討している。
ブルターニュの島が日帰り観光客の制限を復活
仏紙ルモンドによると、フランス北部ブルターニュ地方のブレア島も、観光公害への対策として入島制限を再導入する。同島は、7月22日~8月23日の午前8時30分~午後2時30分までの時間帯に入島できる観光客の数を4700人に制限する。それ以降の時間帯に関しては、午前中に入島した観光客の多くが昼食後に島を離れることが想定されるため、制限はない。地元住民には制限が適用されず、通常通り島を自由に出入りすることができる。
この条例が導入されたのは昨年だが、これによって来訪者の満足度の向上や駐車問題をはじめとする地元住民からの苦情の減少のほか、日帰り観光客が引き起こす問題が減ったとの見方もある。他方で、いつ入島できるかが明確でなかったために訪問者数が自然に減少しただけで、条例自体には効果がなかったと指摘する向きもある。効果が明らかになるには、ある程度の時間がかかるだろう。近隣のブルターニュ諸島も観光客の過密に悩まされており、ブレア島の条例の効果が注目されている。
(forbes.com 原文)