加速する生産
大きな疑問は2つある。ひとつは、ウクライナは長距離攻撃ドローンをどのくらい生産できるのかということ。もうひとつは、7月のドローン発射数増加は一時的なものなのか、それともしばらく続く傾向になるのかだ。昨年12月にウクライナのドローンメーカー、ターミナル・オートノミー社に取材した際、同社はAQ-400 Scythe(サイズ、「大鎌」)自爆ドローンの量産計画について話していた。このドローンの筐体は木製で、組み立て式家具の部材をカットするのと同じ設備で製造でき、特別な技術を要しない労働者でも簡単に組み立てられる。同社は2024年半ばまでに月産数を500機に拡大できるとの見通しを示していたが、これは政府の支援を受けられるか次第だった。ボベル(「ビーバー」)やリューティー(「獰猛」)といったほかのドローンを生産するウクライナメーカーも、十分な資金支援があれば生産能力は同じくらいかもしれない。
ウクライナのオレクサンドル・カミシン戦略産業相は昨年12月、2024年に射程数百kmの攻撃ドローンを1万機生産することを目標にしていると述べていた。月およそ830機ということになる。
そしてゼレンスキーは7月末のビデオメッセージで、「長距離ドローンの数を増やし、質を高めるための措置を準備している」と明らかにした。
ドローン攻撃が1カ月増えただけでは、あまり意味がないかもしれない。ウクライナのドローン発射数は、昨年12月や今年3月に記録されたロシアのシャヘド発射数600機超よりはまだ少ない。一方で、7月がウクライナとロシアの戦略ドローン戦の転換点になり、ロシア側にとって問題が大きくなり始めた月だった可能性もある。
(forbes.com 原文)