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2024.08.20 14:15

会議は忖度せよ。世界が唸る「和様・柔の拳」ビジネス戦術とは

Getty Images

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米国での会議でしばしば体験するのは、よくここまで言うなと思うようなアグレッシブな主張やハードネゴシエーションです。

一方、近ごろ日本では、「忖度」という言葉がネガティブな流行語のようになってしまいました。本来は「他人の心情を推し量ること、また、推し量って相手に配慮すること」という、日本人が得意とするコミュニケーションスキルのことです。

ここではポジティブな忖度による、日本的なスゴイ会議のノウハウについて紹介しましょう。

トキ=柔の拳 の会議


米国の会議で見られるような「剛の拳」は、漫画「北斗の拳」のラオウをイメージすると分かりやすいかもしれません。一方、和の技法とも言えるポジティブ忖度は「柔の拳」であり、「北斗の拳」のトキを筆者は一つの理想像としています。

ミーティングで、自分の意見を分かってくれ、受け入れてくれ!と猛進するよりも、まず相手をよく理解し、拳をかわしながら互いの間合い・立ち位置を探り、スィートスポット=秘孔を見出して突く、といった戦術を高めた対応をするのです。出席者の胸のうちや「その人が納得するには何が必要か・有効か」を推察し、逆算して自分の発言を調整したり言葉を選んだり、あるいは(当初は言おうと思っていたことを)あえて言わない選択をしたり、要望の組み合わせを変えたりします。会議版の合気道と言い換えてもよいかもしれません。

剛の拳よりも柔の拳は、ミーティングをよい結果に導きやすいのです。結果的に、相手の理解や興味を促すこともやりやすくなり、破談や交渉の長期化も避けやすいでしょう。

「ずらす」極意


交渉ごととは異なるテーマですが、出席者のほとんどが発言せずにシーンとなる会議で、みなさんどうされていますか。「どうぞ皆さん、自由にご意見を」と言ったところで役に立ちません。

では、停滞したミーティングの打開策で筆者がしばしばとる戦術を紹介しましょう。わざと少しずらしたり/間違えた発言をするのです。すると、いやいやこうなのよ、と黙っていた出席者が喋りだします。大間違いや見当違いだと、あきれて何も言わない、あるいは短く否定の言葉しか出てきませんが、少しのズレに対しては、よく知っている人(自信のある人)ほど、意見を言って正そうとしたくなるものです。

以下に、1つ例を挙げましょう。

停滞したミーティングで「ずらす」とこうなる

筆者:「X社はベンチャー企業のエンジニアの人数で買収価格を決めている」

A氏:「いや、それは極論でしょう」

筆者:「では、どんな値決めをしていますか?」

A氏:「〇〇の場合は△で、□□の場合は▶︎で、Y社買収の件は代表的な例ですね」


自ら間違いや(ストライクゾーンぎりぎりの)ズレたことを言うのは米国的な発想からは遠いでしょうが、わざとスキを見せて剣を振るわせるなど、和の極意では珍しくありません。

なお、柔の拳を身につけるには何をすればよいでしょう? 筆者の場合、社会人になってスグから、ミーティング出席者の誰が何を考えているか自分で考え、後で答え合わせをし、コツコツと経験をスキル化していきました。すると、もちろん完全には至りませんが、打率は上がっていきました。

例えば、インターナショナルなミーティングでは、相手の日本人はA氏はこう考え、B氏はこう思っている、と解説すると、「え、そうなのか!?」と、いたく感謝されたものです(海外の方には日本人は特に分かりにくい)。

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