欧州

2024.08.12 17:00

ウクライナ軍のクルスク侵攻部隊、塹壕を掘り始める 長期的に張り付く構え

Shutterstock.com

ウクライナ軍がロシア西部クルスク州に電撃的に侵攻して6日目、侵攻部隊がロシア側にとどまるつもりであることを示す証拠が増えている。侵攻部隊は最大5個の旅団(各2000人規模)の一部もしくはすべてと、少なくとも1個の独立大隊(400人規模)で構成されている。

ウクライナ軍部隊は制圧した地域で塹壕を掘っている。現在の戦線あるいはその近くで戦いが膠着化することを見越して、ロシア側も塹壕を掘っている。

双方が陣地を固めているからといって、ウクライナ側の前進が止まったというわけではない。また、ロシア側が反撃して、侵攻部隊を15kmかそこら先の国境の向こう側まで押し返すことが不可能になったわけでもない。

だが、両軍が野戦築城を進めていることは、クルスク州の前線が安定化し、ウクライナが州の一部を長期にわたって占領する可能性が出てきたことを意味する。

エストニアの軍事ブロガー、WarTranslated(@wartranslated)が紹介しているところによると、ロシアの戦場記者アレクサンドル・ハルチェンコは11日、ウクライナ軍部隊がクルスク州で「足場を築きつつある」と報告した。クルスク州での塹壕戦への移行は「起こり得る最悪の事態」だと危機感を示している。

ウクライナの情報筋は、ロシア側がクルスク州で民生用の掘削機を使って新たな要塞線を構築していると伝えている。ウクライナ側もすでに現地で掘削機を使用しているもようだ。

ハルチェンコは「ひとたび敵がシャベルを握れば、2日後には(ウクライナ東部ドネツク州の激戦地だった)アウジーウカ近郊と同じように、樹林帯を奪い返すことは困難になる」とも予想している。ロシア軍はアウジーウカからウクライナ軍の守備隊を押し出すのに半年を要し、その過程で数万人を損耗した。

しかも、ロシア軍が今年2月半ばにアウジーウカ攻防戦で最終的に勝利できたのは、米議会のロシアに融和的な勢力の画策で米国の対ウクライナ支援が何カ月も停止した結果、ウクライナ軍の弾薬が枯渇したからだったと言ってよい。
次ページ > ロシア軍は10個程度の大隊をハルキウ州方面から移している

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

ForbesBrandVoice

人気記事