宇宙

2024.08.13 10:00

古代の「火星最大の湖」跡、驚異の詳細画像 ESA公開

そのような理由から、NASAの火星探査車パーサヴィアランスはジェゼロクレーターの周辺を探索している。ジェゼロにはかつて、湖と川が存在した。NASAの着陸地点の選択が大きく報われる可能性がある。パーサヴィアランスが最近、古代の微生物の存在を示唆する可能性のある証拠を発見したのだ。だが、さらに詳細な調査を行うために、科学者が問題の岩石のサンプルを実際に入手する必要があると考えられる。

欧州宇宙機関(ESA)の探査機マーズ・エクスプレスが撮影した、火星のカラリス・カオスと呼ばれる地域の画像。かつては古代の湖として大量の水が存在したと考えられている(ESA/DLR/FU Berlin)

欧州宇宙機関(ESA)の探査機マーズ・エクスプレスが撮影した、火星のカラリス・カオスと呼ばれる地域の画像。かつては古代の湖として大量の水が存在したと考えられている(ESA/DLR/FU Berlin)

ESAの画像に写っているのは、湖の跡だけではない。多くの衝突クレーターにも興味を引かれる。中央の巨大なクレーターの左縁に見られる構造は、エリダニア湖が干上がった後に水によって形成された可能性がある。その左側にあるより小型のクレーターには、縁に沿って一連のガリー地形(岩壁が浸食されて形成されたV字状の溝)がある。その他の地形としては、長い地割れに見える断層や、時間とともに徐々に崩壊し、ついには原形をわずかに留めるだけの状態になったクレーターなどがある。

エリダニア湖が、今後の無人探査や有人探査の候補地となる日が来るかもしれない。NASAのジェット推進研究所(JPL)はかつて、この領域を「でこぼこで危険」と表現した。従って、着陸システムにとっては難関となるだろう。それまでの間は、マーズ・エクスプレスなどの周回探査機が遠くから、この興味深い領域の調査を続けることになる。
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火星で古代の「生命の存在」を示唆する岩石発見、しかしさらなる研究が必要 NASA

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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