欧州

2024.08.12 10:00

ウクライナ、侵攻したクルスク州内の飛行場つぶしに執着 滑空爆弾搭載機の基地

ロシア空軍のSu-30SM戦闘機(Skycolors / Shutterstock.com)

ロシア空軍のSu-30SM戦闘機(Skycolors / Shutterstock.com)

ロシア西部クルスク州のクルスク市郊外にあるハリノ航空基地は、ウクライナによる奇襲侵攻の中心地となっている国境の町、スジャから最も近い場所にあるロシアの軍用飛行場だ。

ハリノ航空基地にはロシア空軍の第14親衛戦闘機航空連隊が所在していて、第14連隊に所属する24機のスホーイSu-30SM戦闘機は滑空爆弾を搭載できる。発射後に翼が展開し、衛星誘導で40km以上先の目標に向かって滑空していくこの航空爆弾、ウクライナでの通称「KAB」は、ロシア軍が多用している強力な兵器だ。最も大型のものは重量が3tある。

ウクライナ軍部隊が6日に北部スーミ州から国境を越えてクルスク州に進撃してくると、ロシア空軍は、少なくとも5個の旅団から成る侵攻部隊やスーミ州内のその基地を滑空爆弾で爆撃し始めた。1日の投下数は最大で前線全体の半数に相当する50発ほどに達するらしい。

ウクライナ側はハリノ航空基地の重要性がよくわかっている。だからこそ、侵攻の前の週からこの基地に対する攻撃を激化させていた。

ウクライナとの国境から100kmほどしか離れていないハリノ航空基地は、ウクライナの弾道ミサイルや巡航ミサイル、爆発物を積んだドローン(無人機)など、さまざまな深部打撃兵器の射程内に入る。実際、ロシアが全面侵攻を始めた2022年2月以降、ウクライナ側はこの基地を数回攻撃している。

2022年12月にはドローンで襲撃し、基地の燃料貯蔵庫の火災を引き起こした。その8カ月後には、ウクライナ独自の段ボール製ドローン攻撃した

攻撃は最近エスカレートした。クルスク州侵攻の6日前の7月31日、ハリノ航空基地の弾薬庫がウクライナの攻撃を受け、一部が焼失した。この攻撃にはウクライナ海軍のネプトゥーン巡航ミサイルが使われたとされ、保管されていた滑空爆弾が破壊された可能性もある。

クルスク州で滑空爆弾を浴び、車両数両に損害を出しながらも、ウクライナ軍部隊はそれから11日後、クルスク州の数百平方kmの地域を制圧した。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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