キャリア・教育

2024.08.12 12:00

「将来の仕事は情熱の表現に」時代を先取りしていたピクサー巨匠の母の言葉

s_bukley / Shutterstock.com

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「(私の母は)芸術の道は立派な職業だと常に信じていました。それは当時としては非常に稀な考え方でした」。

これは、ピクサーの伝説的人物であるジョン・ラセター(『モンスターズ・インク』『Mr.インクレディブル』『インサイド・ヘッド』などを手がける)が2013年にFast Companyで語った言葉だ。

2024年の若者にとって、ラセターの母親についてのこの発言は少し理解に苦しむかもしれない。そもそも、子どもの将来の夢について否定的なことを言って、やる気をなくさせる親がいるだろうか?

もっともな疑問だが、この発言は、発言者の年齢を大いに物語っている。そしてこのような発言になる理由は明白だ。

長い間、芸術の道(映画製作、音楽、演技など)は、夢見る人のためのもの、それも非現実的な夢と考えられてきた。そのため、親は非現実的な考えに理性の光を当てなければならないという役割を担ってきた。その役を担ったのは親だけではない。

映画『ゴスフォード・パーク』を覚えているだろうか? 成功した俳優に対し、俳優を辞めた後、何をするのかという質問が投げかけられるシーンがある。この質問の裏には、俳優業は職業というよりも、真剣な仕事に就く前の単なる一時的なものに過ぎないという考え方があったのだ。

注目すべきは、このような考え方が現代でも通用していることだ。バイデン大統領による学生ローンの債務帳消しという違憲行為と、それに対する批判を考えてみよう。バイデン大統領の行為が違憲であり、明らかに間違っていること(誰かが借金を支払わなければならない)が指摘されるだけでなく、一部の批判者は、バイデン大統領が「美術史」専攻のような「現実世界」では実用的な用途がない専攻の学生の誤った決断を助長していると指摘している。どうやら、固定観念はなかなか消えないようだ。

特に年配の人にとって、美術史や美術関連の専攻は、野心や方向性、あるいはその両方を欠いた真剣でない人のためのものだという考え方が根強い。美術は趣味であって、仕事ではないというわけだ。大学に行ってビジネス、法律、医学を専攻し、趣味は脇に置いて家族を養うための本当の仕事をするための準備をしなさいというわけだ。これは時代遅れの考え方であり、今後ますます時代遅れになっていくだろう。
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翻訳=酒匂寛

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