モビリティ

2024.08.11 16:00

EV充電中にヨガや仮眠、米国で進む「未来の充電ステーション」

(C)Gensler

現代の車のドライバーが瞑想やヨガをしたり、仮眠をとったり、ミーティングをしたりする場所を探す場合、ガソリンスタンドはその候補から外れるだろう。給油は数分で済んでしまうし、そもそもガソリンスタンドはそのような用途向けに作られていないからだ。

しかし、電気自動車(EV)の充電には30分以上が必要で、ドライバーにとって車内で待機するのは退屈だ。建築事務所のGensler(ゲンスラー)とDesignworks(デザインワークス)はこの問題に着目し、将来EVの台数が内燃機関車を上回り、ガソリンスタンドの多くが充電ステーションに変わる日に向けてアイデアを練っている。

BMW傘下のデザインワークスによると、現在米国にはガソリンスタンドが14万5000カ所もあるという。両社は、そのスペースを、ガソリンスタンドの代わりとしてだけでなく、人々の生活とより一体化した施設にしようとしている。

「例えば、車を充電中にヨガや瞑想をしたりなどのセルフケアや健康に特化したスペースを設置するほか、仕事専用のスペースを設けることが考えられる。車内で充電が終わるのを待つのではなく、リラックスして他のことを楽しむことができる」と、デザインワークスでインタラクション担当ディレクターを務めるマット・ポッターは話す。

ケリー・ブルー・ブックによると、EVの販売台数は今年に入って加速の兆しを見せており、第2四半期には前年同期比で11.3%増加した。市場シェアも第1四半期の7.1%から8%に拡大し、販売台数は過去最高の33万463台を記録した。

ゲンスラーとデザインワークスは、EVへの移行がもたらすライフスタイルの変化に対応する一方で、自動運転車の普及を前提に、運転操作が不要な車におけるインテリアのあり方についても検討している。

「自動運転車は、共有スペースや共有モビリティ・プラットフォームになるかもしれない。また、アイトラッキングや網膜トラッキング、ジェスチャーを認識するToFセンサーなど、高い精度を持つ最先端技術を多く搭載することになるだろう」とポッターは言う。

彼らの作業は、創造性や未来思考の訓練であり、現実世界が新たな段階に達したときに何が理に適っているかを考えることだ。

現段階では、彼らが描いたビジョンを現実化する計画はないが、これらのコンセプトのいくつかを建設したり、既存施設に統合することに関心がありそうな企業を調査しているという。ゲンスラーとデザインワークスはロサンゼルス市とも協力し、ポッターが「未来的なバスシェルター」と呼ぶモビリティのハブになり得る施設を建設しようとしている。

EVの普及が進み、社会のモビリティ・ニーズが進化する中、両社は他社に先駆けて環境の変化に最大限対応することを目指している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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