ブラックセサミの株価はIPO(新規株式公開)価格の28香港ドルから20.45香港ドルに下落した。自動車製造の中心地である武漢に本社を置く同社は、この上場で調達した10億香港ドル(約190億円)以上の資金を、今後5年間の研究開発や商業化に充てると述べている。
2016年に設立されたブラックセサミは、これまで自動運転向けのチップを中国のハイテク大手のバイドウや自動車大手の吉利汽車(ジーリー)、国有自動車メーカーの東風汽車集団、ドイツの自動車部品大手ボッシュなどを含む85の国内外の企業に提供している。
ブラックセサミは、昨年6月に完了した最新の資金調達ラウンドで、2億1800万ドルを評価額22億ドルで調達していた。同社は米国のベンチャーキャピタルのNorthern Light Ventureや、中国のシャオミ、テンセント、EVメーカーNIOの投資部門、韓国のSKグループなどの支援を受けている。
ブラックセサミの上場は、米国が自動運転車への中国製ソフトウェアの搭載を禁止するという措置に乗り出すタイミングと重なった。ロイターは4日、バイデン政権が自動運転車やコネクテッドカーへの中国製ソフトウエアの搭載禁止を数週間内に提案する見通しだと報じた。これにより中国企業が製造した自動運転車の米国内でのテストも事実上禁止されることになる。
ブラックセサミは、自動運転向けのチップ業界では、比較的小規模なプレイヤーであり、目論見書によれば同社の市場シェアは2.2%という。この分野の競合としては、インテルが支援するイスラエル企業のモービルアイや米国のエヌビディア、テキサス・インスツルメンツ、中国のホライゾン・ロボティクスなどが挙げられる。