現在44歳の黄の保有資産は、469億ドル(約6兆9000億円)に達している。彼は、2021年にPDDの会長を退いているが、彼の資産の大半は同社株が占めている。しかし、香港市場に上場する農夫山泉の株価は8日午後の取引で上昇し、鍾の資産は午前中の465億ドルから470億ドルに増加した。これを受け、鍾は再び中国一の富豪に返り咲いた。
黄の資産は、米ナスダック上場のPDDホールディングスの株価の上昇を受けて増加した。2004年にグーグルのエンジニアとして米国でキャリアをスタートさせた黄は、2015年にPDDホールディングスを設立した。同社は、中国経済が減速に直面する中で積極的な値引き戦略で顧客を引き寄せ、時価総額が1850億ドルのeコマースの巨人に成長した。
PDDホールディングスは最近、Temuを通じて中国製品を販売する数百人の出品者からの抗議に直面したが、深刻な打撃を受けることなく危機を収束させたと、深センの調査企業ブルーロータスキャピタルアドバイザーズのロバート・マッケイは述べている。彼は同社の株価が過去1週間で8.1%上昇し、抗議の影響による下落からほぼ回復したと指摘した。
PDDホールディングスの第1四半期の売上高は、前年同期比131%増の868億元(約1兆7700億円)で、純利益は前年同期の3倍以上の280億元だった。これに対し、アリババの同期間の売上高は7%増の2220億元だった。
アナリストは、投資家が地政学的リスクを考慮してPDDホールディングスを高く評価してないと述べている。投資家は、同社の急成長を担うTemuが米中の緊張の高まりの中で、政府のより厳しい監視に直面することを懸念。また、世界の当局が、低価格商品の流入から国内企業を保護するためにTemuに対してより高い関税を課す方向に動いていることも懸念している。
一方、シンガポールのDZTリサーチのケ・ヤンは、Temuの規制リスクはTikTokのリスクよりも管理しやすいと述べている。米国の議員は、中国政府がTikTokのユーザーデータにアクセスしたり、プラットフォーム上のコンテンツを通じて米国で影響力を行使する可能性があると主張している。これに対し、Temuはコンテンツを配信しておらず、中国政府が政治的意図で利用する可能性が低いとケは指摘した。
(forbes.com 原文)