欧州

2024.08.09 09:30

潜水艇タイタン沈没事故、犠牲者の遺族が73億円以上の損害賠償訴訟

Photo by David Ryder/Getty Images

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昨年、英豪華客船タイタニック号の残骸を見学するために海中へ潜った、タイタンと呼ばれる潜水艇の事故で亡くなったフランス人探検家の遺族が、この潜水艇を運航した海洋探査企業のオーシャンゲートを訴えた。遺族は、同社が潜水艇の問題を事前に明かさなかったと主張している。
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探検家のポール=アンリ・ナルジョレットの遺族は、米ワシントン州で訴訟を起こし、オーシャンゲートの過失と製品責任を問おうとしている。遺族は、同社が潜水艇が安全でないことを知っていたと主張し、5000万ドル(約73億円)以上の損害賠償を求めている。

ナルジョレットの遺族は、オーシャンゲートとその創業者で同じくこの事故で亡くなったストックトン・ラッシュが、潜水艇が出発する前に、この船のコンディションや耐久性についての「重要な事実」を明かさなかったと主張している。

この訴訟は、潜水艇の無線電子システムに欠陥があり、船内のコントローラーや制御装置、計器が電源供給と無線信号なしでは動作しなかったと主張している。このシステムは潜水開始から90分以内に失われた可能性があるという。
 
弁護士のマット・シャファーは声明で、オーシャンゲート創業者のラッシュが潜水艇の「すべての問題」を明かしていれば、経験豊富な探検家のナルジョレが、乗客としてこの船に乗ることはなかったはずだと述べた。オーシャンゲートの他の社員もこれらの問題を認識していたとされている。
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沿岸警備隊は9月16日にこの潜水艇の事故についての公聴会を開催する。この公聴会は、事故のすべての側面を取り上げる予定で、事故前の故障や修理などの記録やコンプライアンスの遵守状況、乗組員の緊急対応などが報告される。

水深3800メートルに沈んだタイタニック号の引き揚げ権を持つ企業のRMSタイタニックは先日、現地にナルジョレットのことを「ミスター・タイタニック」と称えるプレートを設置した。彼は、同社の水中調査のディレクターとして、2010年以降に何度も沈没地点を訪れていた。

オーシャンゲートの潜水艇タイタンは、昨年6月にタイタニックの残骸へ向かう旅に出発した後、行方不明になった。その後、沿岸警備隊が数日間の捜索を行った結果、ナルジョレットとラッシュCEO、イギリス人実業家のハミッシュ・ハーディング、パキスタン人実業家のシャーザダ・ダウードとその息子を含む5人全員が「壊滅的な」破壊で死亡したことを示す残骸が発見された。

ラッシュは2021年のインタビューで、この潜水艇の製造プロセスでいくつかの規則を破り、業界標準に反してカーボンファイバーとチタンを使用したと述べていた。海洋技術協会の科学者たちは、2018年にオーシャンゲートが船舶の安全性に関する業界基準を満たしていないと批判していたと報じられている。

同社は、この事故の数週間後にすべての探査および商業活動を停止したが、それ以前にはタイタニックの残骸へと向かう潜水を2回成功させていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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