宇宙

2024.08.09 08:30

ボーイング製宇宙船の不具合、飛行士2名の帰還は来年まで延期か

スニ・ウィリアムズ(右)とブッチ・ウィルモア(Photo by Joe Raedle/Getty Images)

米航空宇宙局(NASA)は現地時間8月7日、当初の予定よりも8週間長く国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中の2人の宇宙飛行士が、来年まで宇宙に留まる可能性があると発表した。2人を運んだボーイングの新型有人宇宙船、スターライナーに不具合が相次いたことを受け、NASAはその原因の解析を続けているが、別の選択肢も検討している。

宇宙飛行士のスニ・ウィリアムズとブッチ・ウィルモアは、6月5日にフロリダからスターライナーで打ち上げられ、翌日ISSに到着した。このミッションは、当初の予定では8日から10日間程度のものだった。

しかし、62日が経過した今も2人はISSに足止めされており、NASAはスターライナーの問題が続く中、宇宙飛行士を帰還させるためのバックアップオプションを検討している。

複数のメディアが7日に報じたところによると、ウィリアムズとウィルモアはISSにさらに6カ月間滞在し、2025年にスペースXの宇宙船で帰還するというオプションが検討されている。

しかし、この計画では、スペースXの次回のクルードラゴンミッションに大きな変更が必要となる。当初予定されていた4人のクルーを宇宙に送るのではなく、2人の宇宙飛行士を送り、ウィリアムズとウィルモアがミッションに参加してさらに6カ月間ISSで働き、来年後2月に4人で帰還することになる。

NASAは、今もなおこの計画と並行して、ボーイングが安全だと主張しているスターライナーを使って2人を帰還させるプランを検討している。

ここで注目されるのは、クルードラゴンの打ち上げがいつになるかだ。この打ち上げは8月18日に予定されていたが、NASAがスターライナーのクルーの扱いを検討する時間を確保するため、少なくとも9月24日まで延期された。

このミッションの指揮官であるウィルモアとパイロットのウィリアムズは、ボーイングの宇宙船で初めて宇宙に飛び立った宇宙飛行士だ。再使用可能なスターライナーは、通常4人、最大7人を収容できる宇宙船で、10回のミッションに使用できるとされている。

スターライナーの初の無人飛行は2019年に行われ、その際はISSへの到達に失敗したが、2022年に成功した。初の有人ミッションの打ち上げは、さらにその2年後の今年6月だった。

ボーイングは、このプログラムでこれまで約16億ドル(約2340億円)の損失を出したとされている。スターライナーは現在、宇宙船の姿勢や位置を微調整するためのスラスターの問題が解決されるまでの間、乗員を乗せて地球に帰還する許可を出されていないが、ボーイングは、この宇宙船と乗員を安全に帰還させる能力に「自信を持っている」と述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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