「ファーストペンギン」という言葉がある。主にビジネス分野で使われるもので、ペンギンの行動習性からきたものである。普段、陸上で過ごすペンギンだが、危険を顧みず魚を獲るため、最初に海に飛び込む者を指す。ビジネス分野では新しい領域を切り開く人を「ファーストペンギン」と呼び、彼らは、リスクを負いながらも大きなリターンを獲得している。
「私がむしろ重要だと思うことは、そのファーストペンギンに続いて、集団全体が海に飛び込み、皆が成長していく点」
こう語るのは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士候補者候補・米田あゆさん。東京大学入学式(2024年)で述べた祝辞での言葉である。
「誰かが挑んだフロンティアをただ後追いすることではなく、チャレンジ精神そのものを学び、他者と協力し合いながらも、一人ひとりが独自の一歩を踏み出すことではないか」
とも語っている。これは、地域にも当てはまる言葉だろう。地域に入って様々な取り組みを行う開拓者「ファーストペンギン」がいるが、ただそのまま後ろを追随するのではなく、独自の一歩を踏み出して成長していく集団があることで、地域は強くなる。
言うは易く行うは難しである。しかし、日本の地域には、ファーストペンギンの思考・熱意にいちはやく気づき、海に飛び込み、成長した人がいる。本連載では、彼らを「ファーストフォロワー」と称し、「ファーストペンギン」との関係性を紹介する。