マーケティング

2024.08.15 13:30

愛される商品、愛される会社とは 「推しのつくり手」を見つけてみよう

衣料品などを製造するワシオ(兵庫県加古川市)の「もちはだ」も、多くのファンに推されている自社ブランドだ。防寒肌着のシリーズなのだが、裏地の起毛加工には長年培ってきた技術が生かされており、他社製品と比べてもより暖かさを感じられる仕上がりになっている。

もともとコアなアウトドアフリークや芸能人の間では人気で、芸能人には冬場のロケやドラマ撮影でも助かると愛されていたブランドだったのだが、現在ではその特徴を生かして、シャツやパジャマ、パーカーなどへとラインナップを広げている。

「世界から寒いをなくしたい」という企業理念のもと、モノづくりや品質維持へのこだわりの強さを発信しており、それに共感した買い手はどんどんファンになっていく。結果的にワシオという企業そのものを「推す」人が増え、ほかの商品の人気へと波及。リピート購入にもつながっている。

「推しながら買う」という消費行動は、便利さや安さなどの効率性だけを重視する消費とは一線を画す。精神的な豊かさが幸福度につながるとするならば、商品の背景のつくり手やストーリーを知ったうえで購入し、それを感じながら使っていくことこそが大事なことだ。CIOやワシオは一例に過ぎない。ぜひ「推しのつくり手」を見つけてみてはいかがだろうか。


なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。

文=中山亮太郎 イラストレーション=岡村亮太

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年9月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事