Linq(リンク)と名づけられたこのスタートアップは韓国と米国に拠点を置いている。同社のAIツールは、ヘッジファンドが世界中の上場企業のデータをより迅速に調査することを支援するもので、運用資産が1000億ドルを超えるファンドがすでにこのツールを使用しており、400社以上がウェイトリストに登録しているという。
リンクのCEOのチェ・チャンヨルは、MITで電気工学とコンピュータサイエンスの博士号を取得し、2021年にフォーブスの「30 Under 30」に選出された。同社のチームにはMITで博士号を取得したパン・スビーンやゴールドマン・サックス出身のチェ・ホジュン、クオンツ研究者のキム・ジンらが含まれている。
「我々は、金融とAIでトップクラスの人材を集めている。ゴールドマン・サックス出身のアナリストたちが、MITやハーバード出身のAIエンジニアと連携し、特定のタスクに関するワークフローやプロセスの特定と自動化に取り組んでいる」とチャンヨルとホジュンは語った。
リンクは、2023年にアクセラレーターのTechstarsのプログラムを卒業し、今年6月のシードラウンドで660万ドル(約9億7000万円)を調達した。このラウンドは、オンライン旅行会社のKlookや暗号資産取引所のDunamu(ドゥナム)などをポートフォリオに持つ韓国の投資会社のAtinum Investment(エイティナム・インベストメント)と、InterVest(インターベスト)が主導し、カカオのVC部門やゲーム大手Smilegate(スマイルゲート)のVC部門が参加した。
リンクのAIソフトウェアは、企業の開示情報のスキャンや財務モデルの構築、決算報告書や投資家向け電話会議の書き起こしの要約など、手間のかかるリサーチ業務を自動化する。同社は、各ヘッジファンドと緊密に連携し、「超特化型ソリューション」を提供しているとホジュンはいう。
ヘッジファンドのニーズに特化
この分野の競合には、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2が支援するAlphaSense(アルファセンス)などが挙げられるが、チャンヨルによると、リンクは幅広いデータを提供することで競合と差別化を図っているという。「既存のマーケット・インテリジェンス・プラットフォームは米国中心であるため、他の地域の開示資料やローカルニュースをほとんどカバーできていない。我々はAIを活用し、グローバル規模でローカルインテリジェンスを収集することを可能にした」と彼は述べている。
ホジュンによると、同社のもう1つの強みはパーソナライゼーションへの注力だという。「競合他社は伝統的なデータプロバイダーで、幅広い顧客にサービスを提供している。それに対し、リンクは、最初からヘッジファンド向けにオーダーメイドAIを構築することに特化した。個々のヘッジファンドは、ポートフォリオマネージャーの投資戦略に合うようカスタマイズされたAIソリューションを必要としている」と彼は語った。
(forbes.com 原文)