働き方

2024.08.10 09:45

退職代行を利用された企業ランキング、原因のトップはハラスメント

Getty image

Getty image

退職代行サービスを利用して会社を辞めていく人がいる。挨拶もなく辞めるのは失礼だと言う人もいるが、実際はパワハラや不法労働が常態化した職場から逃げるように辞める人がほとんどだ。つまり、退職代行サービスで何人もの従業員が辞めていく職場があるとすれば、それは職場に問題があるということ。そうした実態が、退職代行サービスの利用者を対象にした調査から浮かび上がった。

アルバトロスが運営する退職代行サービス「退職代行モームリ」は、同サービスを利用した全国の1万5934人の男女を対象にアンケート調査を行った。退職代行を利用した理由は、1位が「上司から各種ハラスメントを受けている」。2位が僅差で「上司から退職を止められる」。続いて、サービス残業、勤務外の仕事、有給が取れない圧力、所定の公休が取れないとなっている。ここに自己都合は見られない。

利用者の年齢は20代が圧倒的に多いが、単に若い世代の同サービスの認知度が高いためだとモームリは推測している。職種別では、正社員、契約社員、バイト、パートともにサービス業が多い。退職代行モームリを複数回使われたことのある企業は、2回がもっとも多く977社。3回以上はぐっと減るが、11回以上が47社もあることには驚かされる。

そのなかで、モームリを通じた退職を20回以上経験した企業が匿名で公表されている。そこには人材派遣会社が9社も含まれている。いずれも従業員数1000人を超える大企業なので、退職者が相対的に多いのはやむを得ない。それにしても、社内で問題視されないのか疑問に思う。

退職代行で辞めた人が64人ともっとも多かった人材派遣会社に勤めていた人の退職理由も添えられている。派遣元の求人票の内容と違う仕事をやらされた、契約外業務をやるよう指示される、退職届が受理されない、質問に答えてもらえない、マニュアルにない仕事を指示されるなどだ。とくに人材派遣会社は、本人、派遣元、派遣先の利害が絡み、人間関係のトラブルも多いため企業側の丁寧なフォローが必要とのことだ。

退職代行モームリは、2022年3月にサービスを開始し、わずか2年4カ月で相談件数が2万8000件、退職代行実施件数は1万5000件を超えた。現在の月間利用者数は2000人ほどあり、そこには「労働者の生の声が反映された労働環境の改善につながるデータ」が日々蓄積されているという。同サービスは、このデータを労働環境の改善に活かしてほしいと、『Z世代が辞めたい会社』(repicbook)を出版している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事