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2024.08.13 09:30

AIブームが産んだ新たな「数千億円規模のクラウド企業」たち

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AIブームによってチップ不足が発生し、企業がコンピューティングパワーの確保に奔走する中、それを販売する新しいタイプのクラウドスタートアップ企業が登場した。

2017年当時、CoreWeaveの共同創業者たちは大当たりを引いたことに気づいていなかった。彼らは、5年後にAIが主流となり、途方もない需要が生まれることになるエヌビディア製チップを大量に買い集めていたのだ。

当時、コモディティトレーダーだったマイケル・イントレーター、ブライアン・ヴェンチュロ、ブラニン・マクビーの3人は、初めは仮想通貨マイニングのために数百個のGPUを購入したのだが、2019年までには同社のインフラストラクチャを転換し、3Dアニメーション、創薬そしてAIといったコンピューティングパワーを必要とする企業にそのパワーを提供するようになった。

2022年末にOpenAIのChatGPTがリリースされ、AIモデル学習の要であるエヌビディア製チップの争奪戦が始まった時、CoreWeaveは幸運にも有利な立場にいた。豊富な「計算資源」(データを処理し、計算を実行するために使用されるハードウェア)を利用できることは、AIレースで意味のある競争をしようとする者にとっての必須条件となった。今では、個人投資家や機関投資家のVCファームでさえも、提携するスタートアップのAI開発を後押しするためにチップをストックしている。

入手困難で高価なGPUの購入にスタートアップが殺到する中、CoreWeaveのようにGPUへのアクセスを有償で提供する企業は非常に貴重な存在となった。同社の急成長ぶりは数字にも表れており、過去12カ月間だけで120億ドル(約1兆7700億円)もの資金を調達し、企業価値は2023年5月の約20億ドル(約2900億円)から現在では190億ドル(約2兆7900億円)にまで膨れ上がっている。

The Informationによれば、2024年には23億ドル(約3400億円)の売上を見込んでいる。現在、同社はグローバル展開を急速に進めており、2022年には3カ所だったデータセンターを、2024年末までにはスペインやスウェーデンなど世界各国に28カ所まで拡大する予定だ。
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翻訳=酒匂寛

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