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2024.08.09 13:45

完璧はつまらないから。ピクサーCCOに聞く「シンパイ」との向き合い方

ピート・ドクター

──映画は大成功を収めているが、プロセスにおける「失敗」についてはどのように捉えているか。
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「失敗」はとても重要なものだ。僕らの場合は先に失敗できるような仕組みがある(何度も社内上映を繰り返し意見を言い合う)。公開して皆さんの目に触れる時には、成功した作品になっているように。間違えては直すというやり方から学び、ストーリーテリングやデザインなど映画のさまざまな側面を向上させている。

もちろん、公開した作品が全部ヒットするわけではないし、資本主義社会だから数字的な物差しで成功をはかることもあるが、うまくいかなかった場合は、できるだけ観客に何が響かなかったのかを分析している。デザインだったのか、キャラクターだったのか、物語だったのか、何が響かなかったのだろうと。

ストーリーテリングというのはすごく複雑なプロセスで、ひとつの答えはない。引退されたエド・キャットムル氏(ピクサー・アニメーション・スタジオ共同創設者)はトラブルが大好きで、トラブルシューターだった。問題が起きるのをすごく喜んでいた。
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私たちみんながそのような気持ちでやっているわけではないが、課題解決は自分たちの仕事の一部だということは、遺産として受け継いでいる。完璧はつまらないから。

ピート・ドクター◎ピクサー・アニメーション・スタジオのクリエイティブを束ねるチーフ・クリエイティブ・オフィサー。1990年に3人目のアニメーターとしてピクサーに入社。『トイ・ストーリー』のストーリーとキャラクター開発、『バグズ・ライフ』ではストーリーボード・アーティストを務め、『トイ・ストーリー2』と『ウォーリー』では初期ストーリーを執筆。ピクサー作品の創作に欠かせない才能として活躍する。『インサイド・ヘッド2』ではエグゼクティブ・プロデューサーとして参加した。

取材・文=松崎美和子 撮影=山田大輔

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