2024.08.08 13:15

最高級を普段づかいする ベントレーが追求する「エブリデイ・ラグジュアリー」の最新型

ベントレーの新型クーペ「コンチネンタル GTスピード」および「コンチネンタル GTC スピード」が、2024年6月27日に日本で発売された。4000万円前後のプライスタグを提げる、贅沢なクーペをどう日本で売り込んでいくのか。日本法人の動きが気になる。

2プラス2の2ドアクーペ、ベントレー・コンチネンタル GTスピードは、環境性能と動力性能を両立させたところに、大きな特徴を持つ。8気筒を使った外部充電可能なプラグインハイブリッドシステムを搭載。バッテリーのみで最大81kmの走行が可能という。


日本市場で3年連続、最高台数を更新

ベントレーモーターズといえば、いまアジア・パシフィック地域で存在感が増している。なにしろ、2023年の販売成績は2121台を記録。同社によると、前年比90台増(4パーセント増)。全世界販売台数13560台のうち16パーセントを占めるそう。

日本市場も3年連続で過去最高台数の719台を販売し、2022年比12パーセント増。「厳しい世界情勢の中でも回復力を示しました」と、ベントレーモーターズ・アジアパシフィックはプレス向け資料で誇る。

「世界はCOVIDの影響下にありましたが、高額商品の販売は好調に推移しているし、ベントレーでも同様です。売れ線のベンテイガのフェイスリストが販売増に貢献したのと、EWB(エクステンデッド・ホイールベース)モデルの設定が、ショファードリブンの使われかたが多いアジアのいくつもの市場で高く評価されました」


2021年3月にベントレーモーターズ・アジアパシフィックのリージョナルダイレクターに就任したニコ・クールマン氏は、今回の発表会のタイミングで来日。インタビューで、上記のように振り返った。

そんな追い風を受けて登場した、4世代目のコンチネンタル GT スピード(同時発売のGTC スピードはフルオープンモデル)。基本的なデザインテーマは、2003年の初代から引き継がれている。

大きなパワートレインをおさめたフロント部分の大きさを強調しつつ、ベントレーの伝統的な格子グリル。後退した小ぶりなキャビン、さらにうつぶせになった猛獣の筋肉が発達した後肢をイメージしたリアフェンダーなど、すぐれた造型は、自動車デザインにおいてひとつの型を作ったといえる。


私の知人のイタリアのラグジュアリースポーツカーメーカーのデザイナーはかつて、コンチネンタル GTのグリルを見て、「格子状に組み合わせた板のR(弧)が1枚ずつちがう。こんな凝った作りは真似できない」と、嘆息していた。このあたりの希少な”いいもの感”も、オーナーのプライドを上手にくすぐるゆえんだろう。

「真のラグジュアリー」を求めて

いま、顧客にとって、ベントレーのプロダクトの提供価値とはなにか。ベントレーモーターズ ジャパンの遠藤克之輔ブランドダイレクターによると、現代のラグジュアリーと求める気持ちに、うまく寄り添っているところ、となる。


「新型コンチネンタル GT スピードは、ベントレー史上もっともパワフルなウルトラパフォーマンス・ハイブリッド・パワートレインをはじめ、高性能のためのベントレー・パフォーマンス・アクティブシャシー パッケージ、静止から時速100kmまでを3.2秒で加速するいっぽうCO2排出量を低く抑えた両面性、また、シングルヘッドライトの採用など大胆なデザインDNAを織り込むなど、数々の特徴をそなえています」

それだけではありません、とクールマン氏はつけ加える。

「ベントレー車のよさは、クワイエット・ラグジュアリーだと思っています。これまでもベントレーは、長距離移動を含めて、乗っているあいだの時間が、1分1秒にいたるまで楽しめるように、クルマを作ってきました。それが真のラグジュアリーだという考えです」

遠藤氏がその発言を引き継ぐ。

「ベントレー車に乗っているからといって、これみよがしの態度をとることを是としない、のが今っぽさ。つまり、自分がベントレーの魅力を味わっていられれば、それで満足できるということです。そこに価値を見いだす顧客が増えているように思います。ベントレー車の良さってなに、と尋ねられたら、私は、最高級のものを求める方が普段づかいするエブリデイ・ラグジュアリーだと答えます」

最高級という点では、ベントレーモーターズでは世界的に、内外装の特別注文を展開。ベントレーのパーソナルコミッショニング部門である「マリナー」による特別仕様の人気が上がっているそうだ。


「マリナーには、マリナー・コレクションにはじまって、特注の装備を注文できるマリナー・フィーチャーズ、そして究極はボディまで特注できる200万ポンドぐらいのマリナー・コーチビルドの3つがあります。顧客は、半分がベントレー車の長年のファン、もう半分は、コレクションのために注文する、という方がたです」


本社でコミュニケーション&D&I(ダイバシティ、エクイティ&インクルージョン)オフィサーを務めるウェイン・ブルース氏は、ベントレーがいかに特別なクルマかを説明してくれた。

今回はインタビュー時間が限られていたので話が及ばなかったが、 LGBTQ+への対応など、従業員をはじめとする関係者全員の幸福の追求も、現在のベントレーモーターズにとって、重要なテーマ。そのことは、上記ブルース氏のジョブタイトルからもわかる。

「ダイバシティおよびインクルージョンはじつに重要です。それを含めて、いま、ベントレーモーターズは、すぐれたライフスタイルブランドへの変革のまっただなかにいます。顧客とは商品を通じてずっとつながりをもたせていただきたいし、米国に「ベントレー・レジデンス・マイアミ」を2027年完成予定として開発中であったり、あらゆる点において、コンテンポラリー・ライフスタイルブランドを目指しています」

クールマン氏は、自信に満ちた口調で、そう述べるのだった。

「いまベントレーを買わないような方にも強く魅力を感じていただくことが重要です。これからさまざまな施策で、ベントレーというブランドのファンベースをつくっていきたいと思います」。遠藤氏はそう締めくくった。





【スペックス】
Bentley Continental GT Speed(Continental GTC Speed)
全長×全幅×全長=4895×1966×1397(1392)mm
ホイールベース:2851(2848)mm
車重:2459(2636)kg
3996ccV型8気筒 プラグインハイブリッド 全輪駆動
最高出力:782kW、最大トルク:800Nm
価格:3930万3000円(4312万円)
問合せ先:ベントレー モーターズ ジャパン
https://www.bentleymotors.jp/

text by Fumio Ogawa

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