「Groqチップは本当にツボを突いています」とメタのチーフサイエンティスト、ヤン・ルカンはいう。ルカンはロスがニューヨーク大学に在学していた時のコンピュータサイエンスの恩師であり、最近Groqの技術顧問に就任した。先月には、メタのCEOのマーク・ザッカーバーグは、Groqがメタの新しいモデルLlama 3.1の推論を実行するためのチップを提供する企業の1つになると発表し、同社を「イノベーター」と呼んだ。
ロスはグーグルでキャリアを積み、機械学習に最適化された同社の「テンソル・プロセッシング・ユニット」(TPU)半導体の開発チームで働いていた。彼は2016年にグーグルのエンジニア仲間であるダグ・ワイトマンとともにGroqを創業するために退社した。ワイトマンは同社の初代CEOを務めた。その年、GroqはVCファンドSocial Capitalが主導する1000万ドル(約14億8000万円)の資金調達を行った。しかし、そこから新たな投資家を見つけるのは困難だった。Groqの共同創業者ワイトマンは数年後に退社し、インタビューの要請には応じなかった。
懐疑的な人はまだ多い。同社のシリーズDラウンドへの投資を見送ったあるベンチャーキャピタリストは、Groqのアプローチを「斬新」と評価したが、その知的財産が長期的に防御可能であるとは考えていない。15億ドル(約2217億9000万円)規模のAIインフラストラクチャースタートアップLambdaのクラウド責任者、ミテッシュ・アグラワルは、同社がGroqやその他の専用チップをクラウドで提供する計画はないと述べている。「今のところエヌビディア以外ものものを考えるのは非常に難しいです」と彼はいう。また、大規模システムにおけるGroqチップのコスト効率性に疑問を呈する者もいる。
ロスはこれが困難な道のりであることを知っている。「まるで新人王のようなものです」と彼はいう。「私たちはまだエヌビディアには遠く及びません。だから、すべての目が私たちに向けられています。そして、次はどうするのかと問われている感じですね」
(forbes.com 原文)